かわらばん

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     ちいたび
かわらばん入居版67号 2009年11月

石川の東海道 道中記 総集編
   ― 全行程24日間 日本橋~京都三条 ―
 昨年10月より連載いたしました東海道道中も、おかげさまで京都三条へ辿り着くことができました。60歳になったことを記念して「ふと」思いついてから3年で、皆様のご声援のお
かげで完全踏破することができ誠にありがとうございました。
 途中何回も気力が萎えそうになりましたが、原稿の締切りに追われ「頑張らなくては!」と気を取り直した結果で、道中記がなければまだ京都には着いていなかったと思います。
 ここで道中内容をダイジェストしたいと思います。
  延日数 24日間 ・ 歩行距離 約525km 
  一日平均歩行距離 21.8km ・ 夜行バス利用3 回 
  宿泊日数6日間
 昔の旅人のペースからみると、半分程度であり当時の方々の脚力には感心させられます。
 日本橋~掛川までの延12日間は、日帰りで歩いていましたが、これから以西になりますと始発電車に乗っても歩き始めるのが8 時半過ぎになります。一回の距離が稼げないため、掛川~京都までは一泊2日を6 回実施しました。東海道は492km ですが、宮宿(熱田)~ 桑名宿間は船旅でしたので、陸路で佐屋街道を歩いたために30km ほど多くなっています。
 再度訪れて見たい宿場をあげるならば御油宿・赤坂宿・有松宿・桑名宿・関宿など昔の雰囲気が感じられるところが挙げられます。
 景色で印象深いのは薩埵( さつた) 峠からの海岸線と富士山・金谷坂の上った牧之原公園からのお茶畑・舞坂宿の傍らからの浜名湖・御油の松並木・瀬田唐橋からの琵琶湖などでしょうか。
 天候で厳しかったのは「遠州の空っ風」をまともに受けた天竜川、土砂降りの鈴鹿峠、最終日の草津から京都までの酷暑でした。
 いろいろな想い出が蘇りますが、帰り時間にせきたてられて、いつも先を急ぐ旅になってしまい、食物に関するものが少ないのが心残りではあります。出来るものならば普通電車で、のんびりと各地を訪れて、名物料理と地酒を味わう旅をしたいと願っています。
 勘違いをして道に迷ったり、寒さに震えたりいろいろありましたがどんなに困った時でも、各地で多くの人情や親切に出会うことが出来て感慨深いものがあります。また、史跡をたくさ
ん見学し、改めてこれから歴史や地理そして文学等々勉強しなければならないことを思い知らされた旅でした。
 今回の東海道中には、「完全 東海道53次ガイド」(講談社+α文庫)や、各地の観光課・観光協会・国道事務所などに大変お世話になり、下調べを事前にすることができ紙上を借りて
御礼申し上げます。

石川 幸二

金谷坂・菊川坂の石畳
安倍川
新居宿:ミニチュア草履を頂く
三条大橋