かわらばん

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かわらばん地域版18号 2012年4月

久保田酒造株式会社
   いい酒をしっかり造りづつける
緑区根小屋に久保田酒造の若き杜氏久保田晃さんを訪ねました。
 久保田さんは京都の芸術大学で日本画を学び、2002年に「冬場のアルバイト」といった軽い気持ちで父親が経営する同社に入社。まったくの畑違いだったが最初の一年目から酒造りの面白さにハマりこの道に進むことに。日本酒をあまり飲まなかった久保田さんが入社早々飲んだお酒の中で大吟醸は飛びぬけて美味かったそうだ。「ここで自分の吟醸造りをしてみたい」そんな思いも久保田さんをこの道に進ませた一因だろう。
 最初は岩手県から来ていた杜氏の元で経験を積み、2006年に杜氏となり、久保田酒造の酒造りを一手に担うことになる。
 久保田酒造の創業は1844年。専ら醸造アルコール、糖類、うま味調味料が入った普通酒を製造していた。吟醸造りに魅せられた久保田さんが杜氏になったころから純米大吟醸、純米吟醸、純米酒への切り替えが進み、今では普通酒はほとんど製造していない。
 吟醸造りは「洗米、蒸し、麹造り、酵母造り、仕込み、ろ過、火入れ、貯蔵・熟成、ビン詰め」どの工程も小ロットで徹底した温度と時間の管理が必要となる。米と水と酵母以外余計なものは一切使わない。そして、米は山田錦に代表される値段が張る酒米。吟醸造りとは手間とコストがかかるお酒なのだ。

今までで一番苦しかったこと:
 杜氏になった平成18年の酒造り。半年間は朝5時から深夜遅くまで休日もなく仕事に明け暮れる毎日だったそうだ。一から教えてくれた南部杜氏が去り、すべての工程を一人で仕切るのは並大抵のことではなかったろう。

最近うれしかったこと:
 神奈川産の酒米「若水」を使った特別純米酒が思い通りに仕上がり、出荷できたこと。米と水と微生物が反応して生まれる酒は非常にコントロールが難しく、狙いとおりのお酒をつくることはとても難しい。

今後どんな酒造りを目指すのか:
 今、日本酒の世界は大量生産される一升1,000円を切るような安い酒と原料も工程も徹底的にこだわった大吟醸酒や吟醸酒のような高級酒の二極化が進んでいる。久保田酒造は生産量の拡大は追わず、純米大吟醸や純米吟醸といったいい酒をしっかり造っていきたい。最近、横浜の居酒屋や都内で久保田酒造の「相模灘」と出会うことがある。なぜか無性にうれしく誇らしい。高校野球で言えば地元の高校が甲子園に出場したようなものか。相模原の地で世界に誇れる銘酒「相模灘」をいつまでも造りつづけて欲しいものだ。

久保田酒造株式会社
代表取締役:久保田 博
専務取締役:久保田 晃(杜氏)
所在地:相模原市緑区根小屋702
従業員数:10人(酒造りの季節は、蔵人が増えます)
資本金:1,200万円 売上:8,000万円 
事業内容:清酒製造・販売
URL:http://www.tsukui.ne.jp/kubota/
杜氏の久保田 晃さん<久保田酒造入口です>
土間のある古民家でお酒を販売しています。酒粕は季節もの。そろそろなくなるそうです。
生酒や純米吟醸酒で作った梅酒などいろいろありました。