かわらばん

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かわらばん入居版103号 2012年11月

中嶋社長のつぶやき
   「強み」を認識するには
 ある企業の協力会のご依頼を受けて、3回シリーズで
「経営計画」作成の研修会を行った。テーマは、協力会の「みんなで『未来』を考える」とした。「定量的な」数値計画は重要ですが、その結果をつくり上げる基礎の「定性的な」部分を明らかにし、中長期的な方向性を導き出せることも重要ですので、ここに焦点を当ててみた。せっかくの機会だったので、親会社の現状分析ワークショップに多くの時間をかけた。協力会の誰もが、確認しておく必要があることであり、関心も高いことから、チャレンジした。
 協力会としては、ワークショップ形式は初めてとのこと。協力会内部のコミュニケーション活性化の「場」にもなった。さらに、親会社の調達部門の部長、課長、担当者の3名も参加され、意見交換もできた。この対話の時間は貴重であった。

 このワークショップでは、定番のSWOTなどを使った分析を実施した。今回、改めて気づいたのですが、参加企業のメンバーが、自社の「強み」を引き出すことに苦戦していた。わかっているようで、出てこない。自らの強みを正しく知ることは、簡単そうでいて、実は非常に難しいもののようである。

 P.F.ドラッカーは、「自らの強みについての前提は、
リーダーシップを維持していくためには、いかなる分野で抜きん出ていなければならないかを明らかにする。」ことだと指摘しています。(「チェンジリーダーの条件」)
 そして「市場におけるリーダーシップは、価格や信頼性などによって実現」される。信頼性の要素としては、「メインテナンスの容易さ、メインテナンス不要の保証、外観、スタイル、デザイン、知名度、最終製品への組み入れコスト、サイズ、アフターサービス、早期の引き渡し、技術指導など」がある。「これらはメーカーを意識した例ですが、他業種でも価格、品質、スピード、安心・安全、付随サービスなど」が考えられる。
 「強みとは、組織の現場で培われた、再現性のある際立った行動です。」「ただし、組織内では当たり前すぎて気づいていない例も多々あります。」「他の組織では難しいが、自分たちは容易にできることは何か」を常に自問していると分からなかったことが、わかるようになるとのことです。自社のことを内部から、外部から、いつも見つめていて、「気づき」がやってくるようです。そして、それはいつも見直す必要があるとのことです。経営環境は、常に変化に満ちているからです。

 「強み」を正しく認識し、市場や顧客ニーズに適合した製品・サービスを提供することで「抜きん出た」強みをさらに磨き上げたいですね。

<引用・参考>
「創造する経営者」ドラッカー名著集⑥ 2007/5
    F.ドラッカー 訳・上田敦生
「実践するドラッカー[事業編]」 2012/3
    上田敦生・監修 佐藤等・編著 ダイヤモンド社