かわらばん

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かわらばん入居版130号 2015年3月

有限会社テクノサージ
   「最先端医療から誰もが受けられる医療の確立を目指して」
【代表プロフィール】
有限会社テクノサージ  
代表取締役 黒柳智惠子(くろやなぎ ちえこ)
1952年生まれ 63歳
開発責任者 黒柳能光(くろやなぎ よしみつ)
1948年生まれ 66歳
愛知県生まれ、相模原市在住

【センター入居のきっかけは?】
 工学博士、理学博士そして医学博士でもある北里大学名誉教教授の黒柳氏は、皮膚の再生医療に魅せられて30年に渡り研究を重ねている日本の人工皮膚研究の第一人者です。
 1985年、北里大学は、「研究領域の異なる学際的な共同研究体制が必要」という方針から東京大学生産技術研究所で制癌剤徐放化の研究をしていた理工系出身の黒柳氏を迎えた。北里大学へ移籍した当初、工学的な発想から“interesting”な研究に没頭していたが、1987年に日本形成外科学会で初めて研究発表をしたとき、臨床医から厳しい洗礼を受けたそうです。臨床現場では、“interesting”な研究ではなく、“important“な研究が求められていたのです。その後、患者さんに役立つ創傷被覆材の開発(日本バイオマテリアル学会技術賞受賞1991年)、実践的な培養真皮の開発(日本人工臓器学会技術賞受賞2009年)に成功されました。永年の功績が認められ、2014年に日本バイオマテリアル学会科学功績賞を受賞されました。
 学術的な活動と平行して、1992年に人工皮膚開発に関する技術コンサルタントを業務として会社を設立。紫外線や乾燥で傷んだ肌を健康な状態にすることは、熱傷治療と共通する要素が多くあり、肌のケアに使用する新しいコンセプトの化粧品を製造・販売するため、2003年8月にセンターに活動の場を広げました。

【事業紹介】
 北里大学教授時代に黒柳氏は、2000年~2005年、厚生科学再生医療ミレニアムプロジェクト研究事業を推進しました。全国24の大学病院を含む31の医療機関で400症例に培養真皮が適用され、約93%の症例で極めて有効な治癒効果が報告されました。培養真皮は、ヒアルロン酸とコラーゲンを凍結真空乾燥してスポンジ状のシート作製し、そこに真皮の活性化の鍵を握る線維芽細胞を組み入れたものです。
 これら培養真皮の技術を応用して、ヒアルロン酸とコラーゲンに上皮成長因子を混合したスポンジ状シートの機能性創傷被覆材を開発しました。さらに、機能性創被覆材の技術を応用して、ヒアルロン酸とコラーゲンに上皮成長因子などの有効成分を加えた美容液を開発しました。医療グレードの成分を使用して無菌操作で製造し、一切の防腐剤を含まないことを特徴とした製品です。“美を装うのではなく、美を作り出す”ことを目的とした化粧品です。
 国内及び韓国の皮膚科クリニックを通しての販売、個人ユーザー向けの通信販売を行っています。皮膚科のドクターが安心して患者さんに推薦できる製品であることからも、品質の高さが証明されています。大手エステ会社からも製造依頼を受けて化粧品の製造を行っています。

【これからの夢または目標は?】
 北里大学医学部形成外科に移籍した頃のある日、集中治療室で治療を受けていた子供が敗血症で命を落とした現場に立ち会いました。その際に、工学的な技術(technology)で新しい人工皮膚を開発して外科治療(surgery)に役立てようと決意し、両者の単語を合わせて『工学的外科治療』すなわちテクノサージ(technosurg)という言葉が生まれ社名となりました。
 医療研究者としての目標は、多くの患者さんが望む最先端医療を普通に誰もが受けられる通常の医療にすることです。そして、傷の治療をした後、元の様にきれいに治す皮膚ケアを広めて行くこと。最先端医療から通常の医療へのプロセスは、情熱と時間と労力を要する決して平坦な道ではありません。
 東北の震災後、「皮膚再生医療と美容」の講演活動を通して、希望という名前の化粧品ヴュンシェ(Wunsche:ドイツ語)を販売するチャリティー活動を行っています。福島、宮城、岩手3県へ売上金の全額を寄付しています。これまでに講演活動は17回を数え、総額は680万円になります。工学的な技術で人々の心のケアまでできれば最高です。これからも微力ではありますが社会貢献を継続できる企業でありたいと願っています。

有限会社テクノサージ
SIC-2 706号室
URL: http://www.technosurg.co.jp
<前列左から> 大野 悠さん、黒柳 智恵子社長、黒柳 能光名誉教授、山本 昭子さん <後列左から> 大日向 直美さん、浜野 敦子さん、榎本 由紀江さん 
左から エルバイス(美容液)、ヴュンシェ(化粧水)、エピサージュ(美容液)