かわらばん

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かわらばん地域版48号 2017年3月

株式会社広和産業
   人の「和」を大切に 仕事は楽しく
 医療機器や文具品等の加工・検査・包装、営業販促品の企画、セッティング・ピッキング、発送作業及び樹脂製品の製造販売など幅広いサービスを提供する株式会社広和産業の㝡住悦子社長を相模原市中央区小山にある本社に訪ねました。

 明るい笑顔で迎え入れてくれた㝡住社長は豪雪地帯で知られる富山県の出身、3歳までの幼少の頃を過ごし、真っ白な雪だるまがあったことをかすかに覚えているという。㝡住社長の父であり創業者である㝡住勝己氏(現会長)が、かつて商社に勤務していたことから転勤が多く、富山から大阪、そして神奈川は戸塚、相模原へと勤務地が変わった。学生時代は友人から誘われてバドミントン部や弓道部に所属、また3人姉妹の長女であることからか“物おじしないしっかりとした人柄”がとても印象的だ。

 社会人としてのスタートは女性が活躍でき長く働ける職場として選んだファッション小売業界・アパレル業界だった。そんな㝡住社長が広和産業に入社したのは平成7年。当時社長であった㝡住会長が新規事業の受注にあたりパソコンを使える人材を必要としたことがきっかけだった。勤めていた会社を辞めて父の会社に入ることにあまり抵抗感はなく、むしろ自分が入社することで、父もまた、やる気が湧いてきたようで、自分が事業承継することが最善であると自然に思うようになったと㝡住社長はその当時を振り返る。

 同社は㝡住会長が昭和58年に相模原市上溝にて創業。勤めていた商社から相模原の企業に出向し、その際、生産管理や経理を経験したことが独立するきかっけとなったそうだ。人の「和」を重んじ「仕事は楽しく!」をモットーにした経営は、㝡住会長が創業以来何よりも大事にしていること。受注ではお客様のニーズに可能な限り応え、基本的に仕事は断わらない方針である。

 また、同社が行う製品加工・袋詰め・箱詰め・発送作業という市場出荷前の一連の最終加工は前工程である生産・材料の供給・輸入の遅れなどに大きく影響を受けるが、それを理由に納期を遅らせることはしない。どんなことにもアイデアとチャンスを最大限に活かし、全社 一丸となって何とかしようと努めるところが広和産業の大きな強みだろう。

 同社に入社後の㝡住社長は仕事をしながら社 労士・行政 書士の資 格を取 得し、3 0 代で中小企 業 診 断 士の資 格も取 得した。経営に必要な知識やスキルを身に付けていこうとする姿勢がそこにうかがわれる。まさに㝡住社長のポジティブで内に秘めたチャレンジ精神と実行力の強さを感じさせられる一面である。そして入社後12年間の実務経験を経て、平成19年に代表取締役社長に就任された。就任当初は自ら何でも行ってしまう自分に㝡住会長から「 社 員に任 せることも大事 」「 社 長は 細 かいことに口を出さない」と叱咤激励を受けたそうだ。

 その後、リーマンショックの影響を受けながらも平成21年に医療機器製造業認可、続いて平成25年に化粧品製造業認可を取得。事 業 領域の裾 野を広げつつ新 規 取引先の拡 大を図るなど、常に前向きな経営戦略を展開してきている。

 平成 27年には、相 模 原 市によるロボット導入 支 援事 業の「ロボット導入補助金」を活用し、産業用ロボットによる包装 加工機への「供給自動化システム」の導入を実施した。生産性・効率性向上は勿論のこと、社員の改善意識などが高まったことも大きな成果だという。

 現在、同社では約150名の女性パート社員が在籍している。家事や子育てと仕事を両立させている女性パート社 員に日頃から気を配る㝡住社長。パート社 員の福 利厚生の充実などにも積 極的に取り組んでいる。まさに女性経営者ならではの視点だろう。「仕事は楽しく!」をモットーとして先 代 から引き継いだ 財産をしっかり守り、これからも人の「和」を大切にした経営を目指していきたいと語る㝡住社長。これからも女性経営者の良きお手本として、地域産業界をリードしていって欲しいと願っています。

株式会社広和産業
代表取締役 㝡住 悦子(もずみ えつこ)
所在地 :相模原市中央区小山1-2-8
従業員数:186名(パートを含む)売上高:10億円(平成28年10月期)
事業内容:医療用品・マスク・文具用品・研磨剤・テープ製品などの加工・検査及び包装、営業販促品の企画・セッティング・ピッキング及び発送作業、樹脂製品の製造販売

URL:http://www.kowa-sangyo.co.jp/index.html