かわらばん

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かわらばん地域版79号 2022年7月

株式会社エフエムさがみ(FM HOT 839)
   「地域防災メディアとして  その使命を託してもらえるFM局に」
 相模原市で“コミュニティ放送事業”を営む株式会社エフエムさがみの代表取締役である平岩夏木社長を相模原市中央区にある本社スタジオに訪ねました。

 今年、開局26年目を迎えるエフエムさがみは、平成8年に原保美さん(現取締役)によって設立されたコミュニティFM局。「FM HOT839」の愛称で親しまれ、可聴エリアは相模原市・町田市・愛川町とその周辺地域で、可聴人口は100万人を超す。無料公式アプリをダウンロードすればスマホでもラジオを聴くことができる。地域のイベント、商業、文化など、地元に密着した情報を生放送と収録を織り交ぜ24時間体制で放送している。健康づくりや小学校給食の献立などの生活情報から地元愛を目覚めさせてくれるご当地クイズ、ラジオ市長室や行政情報に至るまでコンテンツは盛りだくさん。地元大学生たちが番組制作に参画するなど若年層のリスナーも増えている。

 一方、コミュニティFM局は、災害時の防災メディアとして災害状況や防災情報を伝える大きな役割がある。その開局ピークは、3大地震「阪神淡路大震災」「中越地震」「東日本大震災」の直後。同局も阪神淡路大震災の直後に開局した。全国ネット局では伝えきれない身近な情報を迅速かつ正確に伝えることがコミュニティFM局の大きな特徴だ。運営形態は、三セク型、民間型、NPO型と大きく3つ。特に民間型は、経営面で厳しく10年未満で閉局に至るケースも少なくない。そのような中、民間型の放送局として四半世紀を超える放送実績を有するエフエムさがみ。その一番の原動力は、平岩社長の“地域の防災メディアとしての強い使命感”だ。

 ボランティアから副社長を経て、平成29年に代表取締役に就任した平岩さんは京都市東山区五条の生まれ。小学校低学年の頃は、親戚の家にも一人で入ることが出来ない“かなりの人見知り”だったらしい。5年生の時、父親の転勤で川崎市を経由して相模原市へ転居。当時、京都弁のアクセントにコンプレックスを感じていたそうだ。麻溝台中学校では1期生だったので、体育館もなければ図書室に本もない状況の中、校則をはじめ服装や頭髪のルールも自分たちで作った思い出がある。その後、県立相模原高校へ進学するが、「自分はおちこぼれでした(笑)」と平岩さん。在学中は放送委員会の活動に熱中した。昼休みの番組制作や高校野球神奈川大会のレポートなどに熱心に取り組むと共に、当時の人気番組“銀座NOW”の学生リポーターに。周りが大学受験に向けて勉強する中、授業が終わるとテレビ出演のため制服姿で銀座に向かい、学校からお叱りを受けたこともあったそうだ。短大時代には、夏は海、冬はスキーと花の女子大生を謳歌した。

 卒業後は大手旅行会社である日本旅行に入社。経理や窓口業務、添乗員を経験した後、結婚を機に退社した。その後、ゼロックス、オーストラリアの専門学校で仕事をするなど多彩な経歴を持つ平岩さんだが、平成7年、地下鉄サリン事件で一台前の電車に乗り合わせ、大手町駅での悲惨な状況を目の当たりしたことが仕事の在り方を見直す転機に。まだ幼い息子さんのことを一番に考え、近くの職場への転職を決めた。折しもエフエムさがみ開局の年、タウンニュースでボランティア募集を見て応募したのが同局との出会い。最初に担当したのは専門家に話を聞く15分間の収録番組だった。これまでを振り返り、子育てのために柔軟な働き方を許してくれた会社(前社長)に感謝していると平岩さん。現在、会社経営に力を注ぐと共に、長寿番組である「とれたてランチBOX」木曜日のパーソナリティーも自ら務める。今年2月には、コミュニティFMとして全国2番目となる「国連SDGメディアコンパクト」に加盟した。

 これまでの経験から、“やりたいと思ったことは行動に移す”、 “もらったチャンスは絶対に逃さない” をモットーにしている。「社長に就任するまでは、局をつぶしたくない、楽しい番組を届けたいという思いが強かった。社長就任後は、その思いに加えて、地域の一企業として地域に貢献すること。会社の雰囲気や体制も変えて、もっともっとリスナーの皆さんに信頼して頂ける局にしていきたい。そのために通常番組をしっかり放送することはもちろん、災害・防災情報は私達の使命、その使命を託しても大丈夫な局なんだと思って頂ける局にしたい」と語る。そして、「その担い手は、多くのボランティアであるパーソナリティーとHOT情報サポーターの方々。ボランティアの皆さんは、ラジオや話すのが好きだけではなく、 “地域のために役に立ちたい” という強い気持ちで関わってくださっています。だからこそ、私達だけでやっているのではなく、多くの方々の協力で続けられていることも知って頂けるようにしたいです」と平岩さん。

 相模原を中心とした地域の安全安心と地元愛のために日々頑張っている平岩社長とスタッフ、そして多くのボランティアの皆さんに心から感謝の気持ちとエールを贈ります!

代表取締役社長:平岩 夏木(ひらいわ なつき)
所 在 地:  神奈川県相模原市中央区相模原6-20-1
従業員数:   7名(パート・アルバイトを含む)
資 本 金:  8,300万円
事業内容:   コミュニティFM放送、イベント運営
URL:https://fm839.com/
周波数:83.9MHz
平岩社長