かわらばん

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かわらばん地域版86号 2023年9月

星工業株式会社
   「自動化でモノづくりの未来に貢献!」
 今年、創業75周年を迎えた星工業株式会社の代表取締役である田中裕二社長を相模原市中央区田名塩田の本社工場に訪ねました。

 平成20年をピークに日本の総人口は減少に転じ、今後も急激な人口減少が予測されている。特に生産年齢人口の減少は、中小企業にとって大きな課題だ。こうした中、モノづくり企業が抱える課題として「人手不足」「技術承継」「人件費の高騰」そして「自動化の遅れ」があげられる。日本の高度成長を支えてきた製造業が今後もこの国の基幹産業として発展していくためには、これらの課題に真摯に向き合い、対応策を講じていく必要がある。こうした課題を抱えるモノづくり企業のために親身になって取り組んでいるのが星工業だ。

 同社は、創業者である松崎正行氏が、昭和23年に「星工業所」を創立したのが始まり。また創業の地が相模原市“星が丘”であったことが社名の由来だ。平成5年、当時専務取締役として会社を支えていた田中紘昭氏(現社長である田中裕二氏の父)が松崎氏より事業を引き継ぎ二代目社長となる。平成28年には、先代紘昭氏と同じエンジニアである田中裕二氏が三代目社長に就任した。創業以来、同社は社会情勢や経済状況の変化に柔軟に対応しながら、一貫して機械装置の製作という事業分野で独自の道を拓いてきた。現在同社は、①産業用自動化省力化装置の設計・製造・販売 ②プラスチック押出成型機装置の設計・製造・販売③振動試験機などのOEMを事業の3本柱としている。これまで、ICリードフレーム自動検査機(半導体)、脱酸素剤投入装置・卓上型表裏貼付ラベラー(食品)、PP延伸テープ製造装置(プラスチック)、キュベット分注装置(医療)、錠剤・カプセル回収機(薬品)など、多様な分野で世の中に一つしかない“オーダーメイド”の機械装置を“技術と創意”で数多く作り出している。

 オーダーメイドで顧客ニーズに合ったより良い製品をつくるために同社は、①設計力を高める:オーダーメイド品は、その7割が設計段階で決まるため、常に設計部門の強化を目指している。②現場の現状把握:現場によって、つくる製品や生産工程・キャパシティーなどがすべて違う。工場の現状把握をしっかり行うことで、自動化で解決したい課題を的確に抽出する。③原材料の特性理解:例えば、プラスチック押出成型機の製作では、素材である合成樹脂の特性や知見・ノウハウが製品の良し悪しを決めるため、常に原材料への理解を深めている。④コミュニケーション重視:社内では、企画・設計部門、製造・組立部門、販売・アフターフォロー部門間のコミュニケーションを重視、柔軟な意見交換でより良い製品づくりにつなげている。⑤メンテナンスとカスタマイズ:設計図面が描ける担当者が、お客様へ定期的に訪問し、既に納入した製品のメンテナンスやカスタマイズを実施し、お客様の「かゆいところに手が届く」サポートを心掛けている。さらに新たな目線で手作業を見つけ出し、新たな自動化の提案にもつなげている。

 長年の業歴から蓄積された機械製作に関する“ノウハウ” を活かし“オーダーメイド” で様々な機械装置の企画・提案・設計・製造を「一気通貫」で行うことができる星工業。まさに多様な分野に果敢にチャレンジして獲得した“ノウハウ” が同社の大きな強みだ。今後も生産性向上による競争力強化を目的として工場の自動化に取り組む企業が増えていくことが予測される中、引き続き、お客様の要望に“期待以上” に応えしていきたいと田中社長。

 そんな田中社長は生まれも育ちも相模原。市内の小中学校を経て日大三高へ進学、大学は日本大学生産工学部機械工学科を専攻。小さい頃から機械やモノづくりが大好きだったそうだ。大学卒業後、社員200名程度の化粧品会社に就職し、自社内で使う機械を製作する部署のエンジニアとして5年間勤務。その後、先代紘昭氏の強い希望により同社へ入社した。趣味は自転車。走るのも改造するのも大好きだという。これまでに茨城県霞ケ浦一周140Kmを8時間、滋賀県の琵琶湖一周215Kmを15時間で走破した経験を持つ。日頃時間がない中、会社のことを考えられる有意義な時間になっているという。もう一つの趣味は「腕時計」。ゼンマイ仕掛けのからくり時計は何時間見ていても飽きないそうだ。いずれスイスで腕時計の作り方を勉強して、自分で自分の腕時計をつくってみたいのだとか。

 様々な製品を作り出すことによって、多くの人々の幸せにつなげるという基本理念を軸に“自動化でモノづくりの未来に貢献”する星工業。今後、田中社長は「創業100 周年に向けて、星工業にできること、お客様に喜んでもらえることをさらに増やしていきたい」と抱負を語る。時代の変化に柔軟に対応し、製造業をはじめとした日本の産業界全体の価値を高めている星工業の挑戦はこれからもまだまだ続く!

代表取締役社長: 田中 裕二(たなか ゆうじ)
所 在 地:  神奈川県相模原市中央区田名塩田1-13-1
従業員数:   25 名
資 本 金:  3,000 万円
事業内容:    ■産業用自動化省力化装置の設計・製造・販売
         ■製薬関連装置の設計・製造・販売
         ■プラスチック成型装置の設計・製造・販売
         ■振動試験装置の製造(OEM)
URL:     https://www.hoshi-ind.co.jp/
田中社長