かわらばん

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     専門家コラム
かわらばん地域版67号 2020年7月

伝える努力をしてみよう
   企業をサポートし隊シリーズ - 広報編- かながわ経済新聞代表・編集長、相模原商工会議所編集委員 千葉 龍太
 今回は「プレスリリース(ニュースリリース)」の実践編です。よく「どう書いたらよいのか分からない」「難しいのでは」とのご質問を受けることがあります。そんなときは大手企業のプレスリリースを参考にしてみるとよいと思います。どんな話題で、どんな風に書いていているのかがよく分かります。大手企業のプレスリリースは誰でも簡単に入手できます。例えばNECならコーポレートサイトにプレスリリースの項目があります。日産自動車やソニーなども同じです。中には「報道資料」などの項目で掲載している企業もありますので探してみましょう。また、日経プレスリリースなど、大手マスコミのホームページでも、大手企業が発表したものをそのまま掲載している場合がありますので参考になるかと思います。

 では実際にプレスリリースを書いてみましょう。まず大切なのが、頭の中を整理することからです。「あれもこれも」は禁物です。確かに、より多くの情報を伝えたい、との気持ちは分かりますが、逆に読み手を混乱させることもあります。伝えたいポイントは絶対に絞るべきで、言い換えれば「何がニュースなのか」です。以前もお伝えしましたが、自社の宣伝色が強いものは禁物です。あくまで「ニュース」ですので、客観的な視点に立って考えてみてください。

 ポイントが決まったら次に「見出し」と「リード」の作成です。新聞記事もそうですが、読んでもらえるかそうでないかは「見出し」で決まるといっても過言ではありません。読み手側である報道機関は常に取材や締め切りに追われています。その中で1日にたくさんの企業が発表するプレスリリースにも目を通さなければなりません。興味が湧く見出しでなければスルーされてしまうことが多々あるのです。この作業にできるだけ知恵を絞って下さい。

 次に「リード」の作成です。リードとは記事内容を要約した数行~十数行の文章を指します。書くときには必ず「5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、どのようにして、なぜ)を心掛けましょう。経済記事、企業ニュースの場合は、「ハウマッチ」も忘れずに盛り込みましょう。例えば、新製品のプレスリリースの場合、価格や販売見込みを指します。

 最後にメインとなる本文を書いていきます。ここでもルールがあります。専門用語はなるべく盛り込まないことです。読み手側(記者)は技術者でもなければ業界の人間でもありません。難解な専門用語が並べてあると結局のところ読んでもらえないことがあります(業界紙は別ですが・・・)。文章は短くシンプルにするのも基本です。記事は短文の集合体です。その方が分かりやすく読め、読んでいて疲れません。さらに、最も大切なのはプレスリリースの文体は新聞記事と同じ「逆三角形」が基本ということです。学校で習ってきた文章の書き方は「起」「承」「転」「結」で構成されますが、プレスリリースの場合はその逆で、結論や大切なことから先に書くのです。

 写真も忘れずに配置して下さい。イメージ図でも構いません。写真などがないと、読んでいても理解が深まりません。プレスリリースの内容を、読み手側にいかに理解してもらうかの努力こそ大切です。プレスリリースは最終的にA4で2枚以内に収めるのもポイントです。先にお伝えした通り、読み手側の負担を減らすのも重要だからです。以上、具体的に説明しましたが、まずは明日からでも実際に書いてみることをオススメします。