有限会社ケミカル電子の日向敏夫副社長を工業団地「Sia神奈川」にある本社工場に訪ねました。ケミカル電子は1984年に横浜市泉区で創業、1999年に大和市へ移転、2009年にSia神奈川に本社工場を新設する。大和市の工場が手狭になったため、相模原も含め川崎、福島、長野と移転先を検討したが相模原市、神奈川県の支援や高度化融資が決め手となり進出を決断したという。
Sia神奈川は63,200㎡の敷地に最先端技術を持つ異業種16社が集まる工業団地。団地内に保育園を設置するなどユニークな活動が注目されている。
ケミカル電子の事業分野は、電子部品に使用する水溶性防錆剤開発・製造・販売である。金や銀などの仕上げめっき層を腐食から守る防錆剤の研究開発に長年携わっている。レアメタル問題に見られる資源の枯渇化や金属価格の高騰で、金や銀などのめっきの薄膜化に拍車がかかる昨今、防錆剤は電子部品の性能を大きく左右する重要な材料となっている。同社は環境負荷や工場の作業環境改善、災害防止の観点から水溶性にこだわり続け、水溶性防錆剤では老舗企業となっている。
日向副社長は2代目の38歳。体育教師を目指し、東海大学体育学部に進学、高校の体育教師を続けていたが先代を継ぐことになる。福井県鯖江市のユーザーであるめっき工場での修行を経て2003年に入社する。この分野での知識や経験は無かったが営業のプレゼンテーションやスタッフとのコミュニケーションでは「教師の経験が活きている」と感じている。
同社は役員を入れて総勢20名。スタッフも20歳代、30歳代が大半を占める若くて元気な企業だ。
学歴や経歴にこだわらず、「面白そうな会社」と思ってくれる人を採用する。工場を案内してもらったが若い社員がいきいきと仕事をしている姿が印象的。
塩水噴霧試験機、ガス腐食試験機、ソルダーチェッカー、高加速寿命試験装置と最新の検査機器が並ぶ室内はまるで理化学の研究室のよう。
社員教育に熱心でセミナーや研修会には本人が希望すれば必ず受講させているし、現在は若手スタッフ1名を関東学院大学大学院に国内留学させているという。小さな企業では非常に珍しいことだ。
また、大学や神奈川県産業技術センター、SIC表面技術研究所との連携にも熱心だ。こうした姿勢が研究開発型企業であるケミカル電子の強さの源泉だろう。
リーマンショックからいち早く立ち直り業績は好調に推移している。大きな企業を目指すのではなく30名ぐらいの少数精鋭の研究開発企業を目指している。将来の夢は海外を視野に入れた水事業。工業用水に困っている途上国の産業に貢献する大きな夢を持っている。
有限会社ケミカル電子
代表取締役副社長 日向 敏夫
相模原市南区大野台4-1-72
Web:
http://chemicaldenshi.jp