第一合成株式会社の河野良子社長を八王子市元本郷町の本社工場に訪ねました。第一合成はコンテナメーカーに勤務していた河野社長の父親が1975年に設立した会社。設立当初は主にプラスチックコンテナを扱う専門商社だったが創業者の強い思いもあり徐々にメーカーへの脱皮を図っていった。現在、同社はプラスチックの加工技術をベースに工業と文化財の二つの部門を持っている。
工業部門は電子基板を静電気から保護し、 安全で効率的に搬送するためのコンテナー、ボックス、トレー、マガジンラックなどを。また、重電・弱電メーカーの組立工程で使われるラインパレットなどを手がけている。
もう一つが文化財部門。埋蔵文化財の発掘調査から整理、保存、保管、展示まで文化財に関連するあらゆる製品やサービスを手がける。遺物の収納や搬送に使うプラスチック製の「テンバコ」、熱伝導性の低い桐材を使用した特別な収蔵箱、遺物の実測に用いる「真弧」、展示用の台座、出土遺物に発掘日時、出土地点などをマーキングする自動注記機のリース業務、出土遺物の洗浄業務、遺物台帳作成業務など幅広い。
売上の比率は工業部門が約70パーセント、文化財部門が約30パーセント。工業部門は、5年前からメーカーとしての商品を多く販売していくという方針にシフトして、近年少しずつその成果も表れている。文化財部門は、大学や地方の教育委員会などからの受注でありコンスタントに仕事はあるが国内の市場は成熟しているため、韓国、台湾など海外市場の開拓を進めている。特に、中国本土を見据えて台湾に力を入れているそうだ。
河野社長は大学卒業後、広告代理店での勤務を経て、創業者である父親に請われ平成12年営業担当として入社。17年に代表取締役専務、そして、18年に父親の急死に伴い代表取締役社長に就いている。若い社長の登場とともに古参の社員が退き、1年間で三分の一が入れ替わったそうだ。18年当時50歳代だった平均年齢が今では30歳代と急激に若返りを果たしている。
また、今年は地元の工科系大学から初めて新卒を採用している。どんな働きをするか、会社にどんな変化をもたらすか非常に楽しみにしているという。
社長業について聞いてみた。「最近やっと面白いと思えるようになりました。経営を任された頃は、やりたいことや思いがあってもその考えをどう伝えればいいのか、どう動いていけばいいのかわからなかった。そういう中で色々なことが次から次へと起こり、後ろ向きなことばかりで大変でしたね。今は会社の将来を考える前向きな悩みですね」
将来の夢は工業も文化財もトータルに関わること。「工業なら工場をまるごとプロデュースする。植物工場の設備、ラインに関わる仕事もやってみたい。」、「文化財なら博物館そのものをプロデュースしたり、教育や地域活性化に繋げる活動もしてみたい。」と河野社長は楽しそうに語る。工業と文化財という異質な市場に果敢に挑戦しようとしている。
第一合成株式会社 代表取締役 河野 良子
所在地:八王子市元本郷町1-25-5
創業:1975年9月
従業員数:25名 資本金 6000万円 売上高:8億円(2010年実績)
事業内容:物流器機、静電気対策製品、環境、液晶関連商品、文化財保存器機の設計・
製造、企画、製作、販売、生涯学習事業
URL:
http://www.daiichigosei.co.jp