相模原市田名の清水原工業団地に今年で創業40周年を迎える「相模ピーシーアイ株式会社」を
訪ねました。プリント基板の穴あけ加工、燃料電池・半導体基材の外形ルーター加工事業を手がけ、
国内に本社・群馬・新潟・長浜の4 工場と豊田営業所の5拠点を構える。これまでの道のりは決して平坦ではなく、半導体業界の市況に強い影響を受けてきた。世界的な厳しい経済不況の嵐が吹く今、全社スローガンを「克つ!(克服する!)」として、苦境を乗り切るために全社員一丸となった取り組みを行っている。
ビール会社の営業マンであった飯山社長は親類の経営するメッキ会社を経て、奥様が勤めていた
半導体商社の取扱品目が縁となり、プリント基板の将来性を感じ独立を決意。プリント基板業界は
門外漢、まずは穴あけ加工会社で半年間の修行に励んだ後の昭和44年、自宅の庭、夫婦二人、穴あ
け加工機1台で事業のスタートを切った。持ち前の積極的な行動力で「うちには3台分の装置があ
る」と言って営業し、眠る間を削って礎を築いたと言う。
事業展開では、コスト圧縮と納期短縮を確保するため顧客の近くに積極的に工場を建設した。地
方工場では、新潟工場の大洪水による水浸しの被害や、取引の減少による苦渋の工場閉鎖など様々
な苦境に遭遇したが、その都度乗り越えてきた。
ところで、相模ピーシーアイ社は、保育園を持つ企業として知られている。超硬ドリルを再研磨する業務は、顕微鏡を覗きながらの女性向きの仕事ではあるが、女性社員の確保と定着が課題であった。平成12年の保育園設置で、従業員の定着率が格段に上昇したという。
また、数年前から5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)やカイゼン活動を進め、㈱カイゼン・マイスターなど外部専門家の助言を受けるなど原価低減の活動に組織的に取り組んでいる。
「いい考え、いい仕事、心をこめて」の社是のもと、従業員を大事にし、従業員による原価低減へ
の取り組みが、逆境を乗り越え克服する力となって経営を支えていると感じた。
相模ピーシーアイ株式会社
代表取締役社長:飯山 勇
所在地:相模原市田名3039-28 資本金:9,800万円
年商:64億円 創業:昭和44年8月25日 従業員数:213名
事業内容:携帯電話、家庭用ゲーム機、パソコン等に組み込まれる電子部品の加工
及びシリコン、アルミ、ガラス、化合物半導体研磨工程向け治具の製造・販売
URL:
http://www.s-pci.co.jp/