永進テクノ株式会社の鈴木道雄社長を相模原市中央区下九沢の本社工場を訪ねました。長い歴史を持つ同社の初めての自社ブランド製品である工作機械のクーラントタンク内の浮遊物・浮上油回収装置「エコイット」が注目を集めている。
同社の前身である永進鉄工株式会社は三菱重工業相模原製作所内に事務所を間借りし、工場内設備の修理をする会社として1974年に設立されている。その後、自社工場を建て、市内大手企業の工場設備の修理・改造や専用機制作を手掛けるなど業容を拡大していく。1998年には三菱重工業から「コージェネレーション用配管ユニット」の設計・製造を受注するなど設備エンジニアリング企業へと変貌を遂げ、2000年には永進テクノ株式会社に社名を変更している。
鈴木さんは1976年生まれの38才。都内の事務機器商社での経理職を経て、2002年に叔父の久保徹夫氏が社長を務める同社に入社。同時期にいろいろな経験を持つ若い人材が10名程採用されている。設備エンジニアリング企業をめざし、会社を一から作り直そうとした久保前社長の思い切った決断だったのだろう。そんな時期に鈴木さんも永進テクノの一員となったわけだ。鈴木さんは学生時代にアルバイトとして同社で経理を手伝ったことがある。その時、「この会社を盛り立てたい」と思ったし「自分ならこう改革する」とも思ったそうだ。そして、会社の経営に係わることで自分の仕事のステージを変えたいとの思いが募り、永進テクノへの入社を決意する。入社してからは経理、購買、品質管理といろいろな仕事を経験する。そして、会社の経営に係わることで自分の仕事のステージを変えたいとの思いが募り、永進テクノへの入社を決意する。入社してからは経理、購買、品質管理といろいろな仕事を経験する。 そして、2009年に副社長にに就任するが、リーマンショックで設備事業は壊滅状態で仕事は激減し、年商は四分の一まで落ち込み、前年同月比で十分の一という月もあったそうだ。製造、設計、営業すべてが暇になり、打つ手なしという状況だった。
そんな中、顧客から金属加工部品の洗浄装置の製造を受託し、その装置に付属する「浮上油回収装置」を仕入れ、納入したところ顧客から厳しいクレームを受け、やむを得ず自社開発することになる。いろいろなアイデアを盛り込んで完成させた「浮上油回収装置」は顧客に大変よろこばれ、永進テクノ初の自社ブランド製品として販売することになる。リーマンショック後の危機的な状況の中、とにかく、これに全力を傾けようと社員総出で装置を車に積込み、全国各地の工場現場に持ち込み実演しながら営業したそうだ。今でも続く、まさに油まみれの営業の始まりだ。テレビ東京の「トレたま」で紹介され、国内外の展示会に出展するなど少しずつ知名度を上げていった。そして、「切削工具の刃持ちが飛躍的に良くなった」という検証結果も得られトヨタ自動車など日本を代表するような企業からの大口受注が続く。1号機を販売し1,200台と順調に売上を伸ばしていいる。国内販売を強化するために大阪に支店を出し、製造とアジアの営業拠点としてタイにも現地法人を設立した。
永進テクノの直近の売り上げ構成はエコイット40％、コージェネレーション用配管ユニット50％、工場内設備10％とリーマンショックで激しく落ち込んだコージェネレーション用配管ユニットも工場内設備も少しずつ持ち直している。
鈴木さんが社長に就任したのは2011年5月。エコイットの海外事業責任者としてタイでの営業から帰国した直後、前社長から突然社長就任を要請されたという。海外事業を任され経営の面白さと最終決断ができないもどかしさを感じていた時だったので迷いはなかったそうだ。社長は孤独で社員全員の生活を支える重さをいつも感じるが「自分で考えて、決めて、行動する」ことが性分にあっていると感じている。
エコイットは機械加工の効率化を進める大きな武器となる。クーラントタンク内の浮上油やスラッジを除去し、洗浄化することで切削刃物の摩耗が減る。それが刃物の交換回数を減らし、工作機械自体の消耗を減らし、化工品質が向上するのだ。永進テクノは40年培った多様な技術を融合させクーラントタンク洗浄化装置の更なる進化を目指す。日本そして世界の機械加工発展のために。
永進テクノ株式会社
代表取締役 鈴木 道雄（すずき みちお）
所在地：神奈川県相模原市緑区下九沢1630-2
従業員数：18名
資本金：3,000万円
売上高：3億2千万円（平成25年度実績）
事業内容：環境・生産改善装置「eco eit」の設計・製造・販売
コージェネレーション発電機向け熱交換配管ユニットの
設計・製造
製造工場向け生産設備及び周辺設備の設計・製造・工事・
修理
URL:
http://www.eishin.info/index.html
鈴木社長 
エコイット（eco eit） 