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かわらばん地域版37号 2015年7月
かながわ経済新聞
 「リスクもいとわず、初心を貫いて」
相模原市を中心に神奈川県全域をカバーする地域経済専門紙「かながわ経済新聞」を発行する千葉龍太代表に会ってきました。かながわ経済新聞は月刊紙のスタイルで、毎号、地域の中小企業の中小企業情報が豊富に載っています。
千葉さんは中学の頃から「新聞記者になりたい」という思いがあり、大学卒業後、CSテレビ局「朝日ニュースター」報道専門チャンネルを経て、日刊工業新聞に入社する。最初の配属は日刊工業新聞社相模支局。小さな頃から文章を書くのは好きだったが、新聞記事はまったくの別物で当時の支局長にはかなり鍛えられたようだ。千葉さんが書いた記事は本社デスクに送る前に何度も何度も赤スミを入れられたそうで、支局長からは「原稿が書けるようになるためには、ノイローゼになるくらいやらなきゃだめだ」と言われたそうだ。
相模支局で忘れられないのが相模原や厚木、大和などで活躍する中小企業の経営者との出会い。若造の自分をいろいろな会社の社長が人生のこと、会社のこと、社会のこといろいろなことを教えてくれ、助けてくれたと千葉さんは当時を懐かしむ。記者人生のスタートを切った相模の地は千葉さんにとって思い出深い土地なのだ。2年間の支局勤務を経て、2003年に本社勤務になり最初に担当したのは「環境省」。京都議定書やクールビズで活躍していた小池百合子大臣にもたびたび取材したそうだ。次は「紙・パルプ」の担当。王子製紙が北越製紙に敵対的買収を仕掛けてした頃で千葉さんは「王子製紙 買収断念!」を示唆する記事もいち早くものにした。この事件は日本初の大企業同士による敵対的買収だったので注目され、大きな話題になったことを思い出す。東京近郊にある役員の自宅を毎日のように夜討ち朝駆けしたそうで厳しい現場だったが記者魂に燃えた日々だったと千葉さんは言う。それから日刊工業新聞の花形部門である「電機」を担当する。ここでも1面トップを数多く書いてきた。でも、ふと疑問を持ったそうだ。
書いている記事は大企業同士の敵対的買収だったり、国内工場の海外移転、事業部門の撤退と売却といった大手企業を巡る後ろ向きなものばかり。中小企業の社長達と語らい、この企業を世に知らしめたいと頑張っていた相模支局時代を思い出したの
だろう。
そんな思いもあり、地元の神奈川新聞へ転職する。神奈川新聞社でのスタートは経済部ではなく記事を取りまとめ紙面をレイアウトする整理部。ここで紙面づくりを一から叩き込まれる。この経験が後に新聞の発行者となる千葉さんを大きく助けることになる。まさに「人間到る処青山あり」である。1年後に経済部に移り、神奈川新聞の経済面を引っ張っていく。経済部時代には日産自動車、横浜財界などを担当。記憶に新しい「横浜ベイスターズの身売り騒動」や「AIJ投資顧問による詐欺事件」なども精力的に取材した。
ここで終わらないのが千葉さんのすごいところで35才で神奈川新聞社を退社し、相模原市に活動の拠点を移し、相模経済新聞を経て、2014年に若手経営者の集まりである相模原市青年工業経営研究会の仲間にも助けられ「かながわ経済新聞」の創刊に漕ぎ着ける。スタート時の発行部数は300部だったそうだ。今は1万部に迫る勢いを見せる。
この新聞は中小企業の持っている優れた技術、サービス、ノウハウをみんなに知ってもらう媒体を目指している。一つの記事で企業を生かすこともあればダメにすることもある。この新聞を通し中小企業の経営者に“自信”と“やる気”と“明るさ”を取り戻してもらいたいと願っているし、「そうか、こうすればやれるのか」といった経営のヒントにもしてもらいたい。近い将来には部数を3万部に伸ばし、神奈川県県央地域の産業や経済を語る時欠かすことのできない存在になりたいと。
米国の高名なベンチャーキャピタリストが成功するアントレプレナーの資質を「スタミナ、適度な貧乏、根無し草性、仲間、無知」の五つあげている。チョッと過激だが的を得ていると思う。「無知」とは起業の苦難を深く認識していないことを指す。どんな苦難が待ち構えているか知っていたら誰も起業しようとしないからだ。リスクもいとわず、初心を貫く真のアントレプレナー千葉さんの今後に期待したい。ガンバレ「かながわ経済新聞」。千葉さんもっともっと弾けてください。
かながわ経済新聞
代表 千葉 龍太(ちば りょうた)
事業内容:「かながわ経済新聞」の発行、
相模原商工会議所「工業部会通信」の編集など。
代表 千葉 龍太さん
2015年7月号 縦書き表
2015年7月号 横書き表
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