高層ビルをはじめ建物の空調自動制御(BA)及び工場・生産ラインの自動制御(FA)関連業務の受託を主業とするノーブル電子工業株式会社の土橋恒一社長を綾瀬市上土棚の本社工場に訪ねました。
BAS(ビルディング・オートメーション・システム)は、空調設備、電気設備、給排水衛生設備、防災、防犯設備並びにエレベータなどの機械設備を総合的に管理するシステムのことで、先端的な情報処理、通信技術が必要とされている。運転制御機能、監視・表示、記録機能、計測機能、データ処理機能などにより、室内環境の最適化、省エネの実現、防災防犯設備の監視、建物管理の省力化などに効果が高く、高層ビルには欠かせないシステムだ。
また、FAS(ファクトリー・オートメーション・システム)は、工場における生産工程の自動化を図るシステムのこと。産業用ロボットを多用して、人間による作業ミスの削減、作業効率、人間に対する安全性の向上などが図られる。現在、製造業におけるFAS導入の目的は、生産性向上やコスト低減だけではなく、品質向上や製造工程の柔軟性向上など多岐にわたっている。今やFASは生産年齢人口の減少に伴う様々な課題を抱えている日本をはじめ、世界各国においても非常に重な役割を担っているといえるだろう。
このように重要な役割を担う各システムにおいて、異なる条件にある建物・工場に対して、高い技術力と提案力に基づき、お客様の様々なニーズに合わせ、「ソフト&ハードウェア設計→製造→現地サポート→アフターメンテナンス」までを一貫して行えることがノーブル電子工業の大きな強みだ。具体的には電機部品の塊である制御盤やコントローラーと呼ばれる中身のソフトウェアの設計・製造を行っており、設計製造した制御盤とソフトウェアをひとつの箱に入れ、配線でつなげて現地のビルに持って行き設置することが当社の主な仕事ですと話す土橋社長。また、高層ビルは窓が開かないケースが多く、消防法でも空調設備の整備は厳しく指導されている。一般的に空調といえばエアコンを思い浮かべるが、通常のエアコンをそのまま使用すると効率面やコスト面に支障が生じる。従って、この問題をクリアするためにはシステム的に自動制御することがとても重要になってくるのだ。さらに同一ビル内には事務室のほか、レストランなどの飲食店、歯科医院や手術室などのメディカル系もあり、それぞれの用途に合わせた快適な空調環境が求められる。
その他、工場や研究開発室のある建物では、空調による緻密なレベルコントロールが要求されるクリーンルームや無菌室では最適な空調環境の構築のために圧力制御システムが駆使されている。このように、ひとつひとつのビルは全て違う為、同社の手掛ける製品は、ひとつも同じものがないフルオーダーメイド品となるのだ 。また 、人間も定期健診が 必 要 なように、同社では現地サポート態勢とアフターメンテナンスも優 秀なスタッフを配置し充実させている。現在、高層ビルが立ち並ぶ東京の丸の内・大手町、横浜みなとみらいの全域を営業基盤とし、地下にある熱源プラントの自動制御盤関連を含め、東京スカイツリーなども手掛けている成長企業だ。
そんなノーブル電子工業を率いるのが、二代目社長の土橋恒一氏だ。土橋社長は1966年川崎市の出身、幼稚園年長の頃に綾瀬市に移ってきた。地元の小中高等学校を経て、産廃会社でトラックの運転手をしていたところ、そこの社長に「君は大学へ行って勉強すべき」と一喝された。一念発起して大学を受験し、みごと駒沢大学経営学部経営学科へ入学した。そんな経緯もあり、学生時代の4年間は「しっかり勉強すること」「好きなバイクで日本一周すること」を自主目標に掲げ、チャレンジ精神旺盛な土橋社長は、そのいずれも成し遂げたそうだ。その甲斐あってか成績はほとんど「優」、特に簿記を修得したことが、経営者になった今、大きく役立っているという。学生時代の集大成はアメリカ主要都市(ニューヨーク・サンフランシスコなど)を巡る卒業旅行を敢行、その時、英会話の重要性を痛感し大いに勉強した。その結果、現在ではベトナムにおける商談や社内統制はすべて英語で行っている。ちなみに、音楽のレゲーが大好きで、25歳の時にはドレッドヘアーでジャマイカに渡ったそうだ。その後、大手電気機器メーカーに就職するも仕事の“やりがい”が見いだせず4年で退社。その後、設計会社で電気設計の基礎を学び、1997年に実父に頼まれて同社に入社した。専務として入社したものの2年間は給料ゼロ!3年目でも年収で60万円しかもらえず「父に騙された」と笑いながら話す土橋社長。
そんな土橋社長が先代(父)から事業を引き継いだのは2011年12月。もともと事業を承継する気はなかったそうだが、先代が「事業を承 継しないなら廃業する」との一言に「もったいない」と思い引き継いだそうだ。当時の従業員は4人、業況はかなり厳しかったとその当時を振り返る。1967年3月、ノーブル電工として自動制御盤の組み立て・配 線一本でやってきたが、事業承 継を機にソフトウェア開発や海外展開などの様々な事業戦略を実践し、現在では綾瀬市本社のほかに国内に3拠点、海外ではベトナムに現地法人を設け、従業員数は120人を超す規模まで大きく成長させた。揺るぎないチャレンジ精神と現場を重視する土橋 社長の会社 経営のベースには、常に“人”を大切にする、“人”に感謝するという想いが強く込められている。現在、ネクストベトナムに向けた取組を思案中であり、国内はもとより海外へ大きく羽ばたくノーブル電子工業、そして24時間365日、会社と仕事のことしか考えていない土橋社長のチャレンジに終わりはなさそうだ。
ノーブル電子工業株式会社
代表取締役 土橋 恒一(どばし こういち)
所在地:綾瀬市上土棚北 4-9-16
従業員数:120 名
資本金:2000 万円
事業内容:建物の空調自動制御(BA)及び工場・生産ラインの自動制御 (FA)関連業務の受託、中央監視システム、自動制御盤の設計・製造、制御ソフトウェアの設計・製作、制御機器の修理・検査及び現地改造作業、各種オーダーメード製作の受託
URL:
http://www.noble-ele.co.jp/index.html