かわらばん

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     入居企業紹介
かわらばん入居版94号 2012年2月

FMC株式会社
   「公正」の理念の下で
【代表プロフィール】
FMC株式会社(Facility Management Company Inc.)
代表取締役会長 大沢幸雄(工学博士・技術士・一級建築士)
代表取締役社長 露木博視(一級建築士・認定ファシリティマネジャー・CASBEE建築評価員)
代表取締役副社長 天野俊裕(税理士・ファイナンシャルプランナー)
※今回は、副社長の天野さんにお話をお聞きしました。

天野さんは、生まれも育ちも旧城山町(現相模原市緑区)の38歳。相模原市在住。
旧津久井郡にある道志川沿いの“このまさわキャンプ場”などをよく利用するアウトドア派です。

【起業しようと思ったきっかけは?】
 天野さんの実家の稼業は水道屋さん。子供の頃から家に来る税理士さんを見てきました。大学では経済学を専攻し資格としての簿記を取得。簿記は天野さんととても相性が良く、税理士の道へ進みました。
 現在も相模原市内で税理士事務所を構える天野さんですが、5年程前、大沢会長が日本建築学会で発表した「建築物ライフサイクルにおける償却資産管理手法の構築」などの論文に出会う。
 税理士としての自分の視点と違うのは何故か。建築士からの視点と税理士からの視点を融合させる必要性を感じたのはこの時です。

【事業紹介】
 建築士・公認会計士・税理士等の専門家によって構成され、建物や建物附属設備に関する詳細で緻密な税務会計管理を通じたコンサルティング業務を行っています。特に力を入れているものを下記にご紹介します。

1.償却資産管理システム(除却法)の導入
 既存の建物や設備などの固定資産の一部について、新設、増設、補強、取替え、現状回復、交換、整備、修繕などを行われた際にその作業の為に取り壊された旧資産の一部についての帳簿価額(未償却残高)を固定資産勘定から「引き算」(一部除却)して、除却損を計上させるための一連の会計手続きです。

従来の方法:資修区分法
【旧資産の簿価+価値等の増加差額=新資産の簿価】
 家1棟+新しいトイレ=新簿価

除却法:
【旧資産の簿価-除却対象資産の簿価+獲得した資産の簿価 = 新資産の簿価】     
 家1棟―古いトイレ+新しいトイレ=新簿価

2.コンポーネント・アカウンティング(IFRS※1:国際財務報 告基準)への対応
 ある資産の内の重要な構成要素を占める部分で、かつ、耐用年数や償却方法が全体とは異なるべきである部分については、それぞれ別途に減価償却等の計算を実施する考え方です。

 例えば、飛行機一機ではなく、機体部分とエンジンの部分を分けて減価償却を行う方が適切であるなど。

3.震災時の対策(BCP※2の策定、リスクファイナンスおよび 震災積立金の推進)の実施
 昨年11月、東日本大震災から2か月で企画・執筆・発刊した「建築士・会計士・税理士の災害FAQ※3」は、災害発生時の事業・建物の復旧、会計処理などの手続・対策が的確に纏まっていることや災害発生直後のタイムリーさが評価されて、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会功労賞を受賞しています。
 FMCでは同書の印税はすべて日本赤十字社を通じて義援金に、また、東北3県及び市町村133団体に無償寄贈しています。

 建築と会計の専門家による事業は、不動産に関連する顧客に「公正」な会計方法を提案すると共に、財務の視点から強くBCPの策定実施を推進しています。

【これからの夢または目標は?】
 今は、とにかく経営者の方に除却法やコンポーネント・アカウンティングの考え方を知ってもらい、広く浸透させて行きたい。
 IT技術の進歩によって建築学と会計学とが融合できたことで見えなかったものが見えるようになった。これから先も、今見えていない事が見えてくるに違いない。真なるものの公正さを常に見定めて行ける事。


FMC株式会社
SIC-1 317
℡:042(770)9497 URL:http://fmcinc.jp/

※1 International Financial Reporting Standards
  『全世界共通の会計ルールの設定』を目的に創設された  国際会計基準審議会(IASB)が設定する会計基準です。
※2 Business Continuity Planの略語:「事業継続計画」
※3 Frequently Asked Questionsの略語:「頻繁に尋ねられる質問」