中小規模農家のためのスマート農業ロボット「DONKEY(ドンキー)」を開発・販売する株式会社DONKEYの山本秀勝社長にお話を伺いました。
DONKEY社は、株式会社日本総合研究所が「農業者みなが儲かる農業 “Agriculture4.0”」を提唱したことを契機に、複数の企業や大学との検討期間を経て、2020年3月に設立されました。SICには、2020年5月より、SIC-1 Startup Lab.に入居しています。
農業分野においては、慢性的な人手不足や高齢化による担い手減少を背景に、ロボットやICTなどの先端技術を活用して省力化・高品質化を図るスマート農業が推進されています。しかしながら、これまでに開発・販売されてきた農業ロボットの多くは、高価で導入コストが高い一方、使用する作業時期以外は倉庫に眠っているケースも少なくありませんでした。
DONKEYは、収穫・除草・施肥・農薬散布・播種といった一連の農作業に対応可能な“小型多機能ロボット”として、中小規模の農家をはじめとした多くの農業者から期待と注目を集めています。
DONKEYの特長として、まずは「高走破性」が挙げられます。四輪独立モーターを採用し、サスペンション機構をはじめとした自動車技術を搭載することで、荒地や畑など段差の多い環境でも安定した走行が可能です。また、最大積載量は100㎏で、傾斜20度まで走行できるなど、非常にパワフルな性能を持っています。それでいて最小回転半径650㎜と小回りが利くため、中小農家にとっては使い勝手の良さも魅力の一つです。
次に挙げられるのが、「多機能性」です。リモコンを用いた遠隔操作だけでなく、自動追従など多様な操作方法が用意されています。自動追従は、前後のカメラで農業者の位置を認識し、一定距離の感覚を保ちながら農業者を自動で追従するものです。また、アタッチメントによる機能拡張によって、農作業の対応範囲を運搬作業以外の一連の作業に広げることができます。例えば、防除タンクアタッチメントを用いて農薬を散布するための機能を持たせることもできます。この多機能性が、農作業の負担軽減と費用対効果の向上に大きく寄与します。
そして、スマート農業実現の肝となる「データ収集」も見逃せません。ロボットの位置情報や収穫量などを計測してクラウド上に蓄積し、そのデータを活用・解析することによって、高度な農業経営も可能になるように目指しています。
同社は、農業Weekといった展示会にも積極的に出展して製品PRに取り組んでいるほか、これまでにさまざまなテレビ番組や新聞などのメディアにも取り上げられてきました。すでに2021年7月から試験販売を開始しており、現在は量産販売に向けた準備を進めています。
「みんなができる×もうかるスマート農業」をコンセプトに掲げる同社では、小型多機能ロボット「DONKEY」を通して、中小規模農家の課題解決に貢献していきます。
株式会社DONKEY
SIC-1 Startup Lab. 1103 号室
https://www.donkey.co.jp/
WEB サイトではDONKEYが実際に走行する動画をご覧いただけます