三次元写真計測技術による建築現場向け施工管理システムやBCP(事業継続計画)調査・診断サービスなどを展開するティスコ株式会社の鈴木隆之社長にお話を伺いました。
「Technical Information Service Co.」を社名の由来とするティスコ社は、長年にわたり非破壊検査・写真計測技術などの開発に取り組んできた鈴木社長が令和2年5月に設立した会社です。SICには、同年8月より、SIC-1Startup Lab.に入居しています。
多くの建築現場では、慢性的な人手不足により、施工管理者の業務負担が増加しています。また、納期短縮や予算削減が求められる中で品質を確保するため、施工管理業務の効率化が重要な課題となっています。そこで、同社では、“写真から測る” 技術を応用し、施工図面と撮影した画像を重ね合わせることで、誤りを視て判る/感覚的に判るという実務手法の開発を行っています。現在は大手建築企業との共同開発により、タブレットPCやiPad上で利用できるCAD施工図面と現場写真の重ね合わせ施工管理アプリの開発に取り組んでいます。本アプリは、モバイルツールレベルでも高精度な計測ができる技術として期待されています。
また、画像解析をキーワードに自社製品の開発も進めており、特に地震リスク対策として『BCPエンジニアリングサービス』の技術開発を進めていく計画です。工場を持つ大手企業をはじめ、公共施設・病院・文教施設など不特定多数の人が往来する施設を対象に、今春から株式会社染野製作所による『ES天井診断システム/SOCCS EYE』との連携調査を開始します。本調査では、大型施設における天井内部の高解像鮮明360度パノラマ写真撮影による構造把握、ドローンを用いた画像評価、体育館床下の計測点検用クローラー装置などを用いて、人が立ち入れない環境の情報収集を行います。
その他、スマートフォンに搭載されている計測機能やVRなどに代表されるウェアラブルカメラ、スマートグラスなどを利用したリモート技術で、設備機器のスクリーニング調査を通して、地震リスクの洗い出し(AIによる危険度抽出ロジック開発)を行います。建物内を歩き回るだけの簡単な記録で、360度パノラマ撮影された動画像の三次元活用が行える時代となり、あらゆる場所を撮影することで、工場内部をGoogleのストリートビューのようにVRで視認できるようになりました。撮影した画像情報をもとに、建物内に潜む危険箇所を洗い出すこと(見える化)で、企業の安全維持管理に役立つことを目標としています。工場設備は業種によって千差万別です。同社では、大手保険リスクコンサルタントやBCP専門家と連携し、数多くの調査から得たノウハウを同社の解析ロジックに反映・数値化し、具体的な地震対策を提案しています。
ティスコ社では、写真計測・画像解析技術を通して、施工管理や設備維持管理の負担軽減を図るとともに、自然災害時に最悪の事態を防ぐことにもつながる技術で社会に貢献していきます。
ティスコ株式会社
SIC-1 Startup Lab. 1212号室
https://www.tis-co.jp/