かわらばん入居版227号 2023年4月
ホルソナー・レヴェルベラシオン
 音楽に携わる人たちに、科学で貢献する!
【Desk10会員プロフィール】
ホルソナー・レヴェルベラシオン
代表 本多 利正( ほんだ としまさ)
本多さんは生まれも育ちも東京都墨田区です。実家の周りには町工場が多く、工場で稼働する加工機械の独特の動きや部品や製品が作られている光景が日常にある環境だったとのこと。当時、食料品スーパーはまだ少なく、八百屋や鮮魚店などがある商店街が通学路で、パン屋さんのミキサーを見て生地をまんべんなくこねる機構に見入ったり、玩具や家電製品などを分解して物の構造を知ることが好きだった少年時代でした。運動も好きで、剣道や機械体操、登山やテニスなどにも取り組みました。日本経済が急成長し、新しいものが次々と現れていた頃は刺激が多く、知的好奇心を掻き立てられていたと、本多さんは当時のことを振り返ります。
屋号であるホルソナー・レヴェルベラシオンは本多さんによる造語です。ホルソナーは「ホールと音響」、レヴェルベラシオンは「反響、または残響」を意味する言葉の組み合わせです。ホルソナー・レヴェルベラシオンにつながる原体験は、バイオリンを習ってはいましたが、あまり好きではなく、お兄様に半ば強制的に連れていかれた教会でのことです。弦楽による伴奏付きの讃美歌が、教会という建物の中で美しく響き渡っていた瞬間の衝撃と感動は、今も鮮明に刻まれています。
【技術者として経験を重ね、起業という道を選ぶ】
大学・大学院では生産機械工学を学びました。今は広く普及しているNC加工(数値制御numerical control machining)が先端的な技術として大学でも研究が行われている頃で、本多さんは加重による物体の変形や位置ずれなどを研究テーマにして大学院を修了し、大手光学機器メーカーに就職。非球面形状を成す光学部品を生産するための生産技術部門に所属し、国内の様々な工場に設備を導入するための仕事に従事しました。また、米国政府による「軍事技術の民生品への転用政策」の一環で、軍事産業関連メーカーの技術を受け入れるため、米国に渡って技術調査も行いました。技術の現場の仕事よりもマネジメントの仕事が増えてきた頃、他社の技術職に就いていた大学時代の友人の転職先である特許業界が「技術革新を目の当たりにできる環境であること」を知り、本多さんも特許事務所に身を移すことを決意しました。折しもデジタルカメラが急速に普及し始める頃で、光学系部品の進化とデジタル技術の進展、メモリの大容量化、さらには価格競争に向けた量産化技術など、目まぐるしく変化する成長・発展分野で知財関連の専門業務に携わりました。
特許事務所での業務にあたる傍ら、個人で音響関連のサービス事業も行い、音楽家や音大生向けの新たな製品・サービスについての構想を開始。2022年1月にDesk10に入会して、開発を進めています。
【“発せられた音”をより豊かなものにする会社】
音と人、および音と人の生活は、密接に関係しています。自然の中から発せられる音や街の喧騒など、それぞれが人の心にあらゆる影響を及ぼします。また、音律(音楽に用いる音高の相対的な関係の規定。“ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド”は音の高さを7つに規定したもの)からなる音楽は、人間に多様な感情を注ぎます。現在は開発途中にあるため、詳しい紹介がかないませんが、自らも様々な音楽に身を浸すことの多い本多さんならではの技術が、音楽に傾倒できる環境を実現させます。さらには、SDGsにも目を向け、豊かで持続可能な未来社会に向けて、ホルソナー・レヴェルベラシオンはその一事業体として貢献していきます。
ホルソナー・レヴェルベラシオン
Desk10 会員
本多さん
ジャンルを問わず文献調査を行うことで、様々な視点から「音楽」を捉えています