かわらばん入居版80号 2011年1月
企業をサポートし隊!!
 シリーズ企画 企業支援の現場から…アドバイザー編
第4回「中国のとらえ方」
●華僑と華人
台湾出張の機会があり、台湾人の友好的な気質を再認識しました。言語的に福建系言語が主流なのですが、気質的にはアセアンの華僑から派生したプラナカンに近い感じです。プラナカンとはマレーシアやシンガポールなどに渡った華僑が、現地化し独自文化をつくって、自身を華人と呼ぶようになったものです。華僑( 華は「中国」を、僑は「仮住まい」を意味します。それに対し華人は「仮住まい」の意味が取れ、現地化選択した人達の呼び方です。)
●中国人の海外展開
シンガポールやマレーシアは華人の経済関与が多い国です。シンガポールは人口の7 割が福建系華人です。マレーシア首都クアラルンプールの華人の多くは広東系華人です。またタ
イで経済を握っているのは、潮州人という華人です。米国や日本など多くの国に中華街があり、現在紛争中の戦闘地域最前線でも開業する中華料理店もあります。この様に、昔から中国人の海外展開は、「古く・広く・深く」行われています。またそれら華僑、華人の経済的支援が今の中国の基盤になってきた事も注目に値します。
●地域特性
中国ではその広さから凄まじい数の方言が有ります。数十キロの距離で方言が違うということもあります。上海語、広東語等という方言名を聞かれたこともあるのでは無いでしょ
うか?
地域毎に食事も違っています。北方系の粉食、南方系の米食等がありますし、味付けも違います。異なる環境では異なる気質が生まれます。
権力好きな北京人、合理的だが嫌われる上海人、素朴だがビジネスは淡白な東北人、 ドライな香港人等、色々と分類されてきています。そういう点では、「中国」などという大きな括りでモノを語るのは、危険もあるかと思います。華僑、華人や大陸の各地域集合体が「中国」であり、地域を考慮することも必要な場合があるかと思います。
●メディアリテラシー
日本のメディアでは、反日デモなどことさら取り上げる嫌いがありますが、現地での生活はまったく平穏で、日本の情報で逆に驚かされることも多々あります。
メディア情報が氾濫している現在、メディアリテラシー(情報メディアを主体的に読み解き必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き活用する能力。)が大切では、と考えます。
ビジネス上でも中国の“地域“の考慮が、円滑な商談クローズに役立つかも知れません。またメディアリテラシーも、今後経営に要求される能力の一つであると思います。
SIC アドバイザー 早野 寿一