かわらばん

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     専門家コラム
かわらばん入居版79号 2011年1月

企業をサポートし隊!!
   シリーズ企画 企業支援の現場から…アドバイザー編 第3回「中国経済の凄さ」
■副収入
 所変われば品変わるとよく言います。日中間でも似ている所もあれば、違っている所もあります。中国ビジネスで言われる所では、中国現地の贈答などでしょうか。なかなか実態
が掴めないのがこの部分です。日本でも「盆暮れの付け届け」、などというものがありますが、中国では現金などが多いと聞きます。
 中国で現金も含めた交際接待はGDP の1 割を占めるという話もあります。現地中国人が実際に貰っている給与では買えないであろうマンションなどを購入したりするのも、こうした副収入がある事からかも知れません。

■中国会計
 一般に中国税務ではインボイス主義ですので、公の領収書が無いと支払証明ができません。現金の贈呈は、会計上非常に難しくなっています。(中国の使途不明金は、企業業種や規模にもよりますが、売上の0.5%程度まで認められていますので、日本よりは楽かも知れませんが。)
 ではどのようにして中国企業が現金を捻出するのでしょう。社員に領収書を集めさせるのは序の口で、公の領収書販売を生業とする人もいます。また極め付けは、現金捻出を担当するトンネル企業もあることでしょうか。これらにより、企業は費用として会計処理をして現金が捻出できるという訳です。

■腕の良い経理
 腕の良い中国の経理・会計担当者といわれるのは、
       ①支払を遅らせる事。
       ②税金を少なくする事。
と言われています。
 ①に関しては、中国で有名現地大手企業との取引で事情が分からないまま契約すると、年単位での支払遅延が発生したりするので有名ですが、②の税金を少なくする事には、大半の現地中国企業が行っている事があります。それは、二重帳簿です。私も以前中国企業のM&Aを担当した事がありましたが、提出された帳簿を見ると信じられないぐらいの高収益企業で驚きましたが、内部調査(デューデリジェンス)を行うとさほどでもない、ということがありました。それは企業が税務署向け帳簿(外帳)と内部向け帳簿(内帳)を持っていたからでした。

■中国税収
 このあたりは中国企業の凄さというか、懐の深い所かも知れません。しかし中国企業がこの様な税金対策(?)を行っているのに、2010 年予想では中国国家税収は8 兆元(約105 兆円)を超える見込みとのことです。実に日本の2.8 倍の税収です。現在一部の沿海部が経済的に栄えていてこの規模というのは、中国経済の怖さとも言えそうです

SIC アドバイザー 早野 寿一