かわらばん

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     専門家コラム
かわらばん入居版66号 2009年10月

企業をサポートし隊!!
   シリーズ企画 企業支援の現場から・・・デザイナー編
 私の好きなデザインの1つに「郵便マーク(〒)」があります。誰もが一目でわかり、容易に描くことができるマークだと思います。また、そのデザイン性云々を感じさせることなく私たちの日常に「郵便屋さん」として溶け込んでいる点も魅力の1つです。日々、真っ赤なポストや車やバイクなどがメッセージを受取り、運び、届けているのを見かけます。そんな姿を目にして「いろんな所からいろんな差出人が出した郵便物を、またいろんな受取人の所へと届けている…」と入り乱れた矢印を想像しては、その膨大さに途方に暮れてしまうことが私にはあります。そんな目の回るようなことを、この郵便マークがなんの変哲もない顔(わずか三画で描けてしまえる“顔”)でやってのけているところに何だか頼もしさすら感じてしまうのです。
 この「郵便マーク(〒)」、由来を調べてみたところ明治20年に逓信省のイニシャルの「T」を採用することになっていたのが、後々「T」は国際郵便の取扱いでは郵便料金不足の印として万国共通に使用されていたため、急遽カタカナ「テ」からの説と、単純に「T」の上に一本足して「〒」としたという説の2つがあるようです。いずれにせよ今日まで120年以上もの年月を経てきているわけですから、私たちの生活に溶け込んだ存在であるのも頷けます。

“存在”のデザイン
 郵便マークの例に限らず、私たちの周囲には一目で理解できるものや聞いただけでその形状・イメージが頭に浮かぶデザインがあります。わかりやすい例だとコカコーラの瓶、ヤクルトの容器、ルイヴィトンのモノグラム、三菱のマーク、鉄道のカラーなどがそうでしょう。これらのように、特徴を印象付けることで存在を認知してもらうやり方を「ブランディング」と最近言われ始めています。
 つまりそれは「キャラクター設計(“存在”のデザイン)」と私は解釈しています。小学校のクラスで服がオシャレでませた女子達と仲良く対等に話ができる花形くん(仮名)だけが“デザイン”ではなく、教室の窓際で水槽のカメを鼻をたらしながらぼけーっと見つめている山田くん(仮名)もクラスメイトとして欠かせない存在なのです。そんなキャラクターを育む対象は、企業、商品、活動など人格を持たないモノやコトです。郵便局のように長年同じ服装で、せっせと郵便物を運び届けていた“彼”に頼むことは周知であり、また見つけやすくもあります。デザインというやり方で“キャラクター”を育むお手伝いができればと思います〠

今回で最終回となります。読んでいただいた方々、どうもありがとうございました。