かわらばん

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     専門家コラム
かわらばん入居版63号 2009年7月

企業をサポートし隊!!
   シリーズ企画 企業支援の現場から・・・デザイナー編
 今回から全4回にわたって、デザインについて書きたいと思います。馴染みの薄い領域だと思いますので、第1回目は「デザインとは何か?」を私の観点から紹介します。

デザインは誰でもやっている行為

 「デザイン」と聞いてどんなことを連想するでしょうか?アート、ファッション、スタイリング、装飾、車のデザイン、よく分からない分野、カッコイイもの、苦手なジャンルなど様々なイメージをすると思います。「デザイン(Design)」を日本語では「意匠」と訳します。さらにこの漢字の意味を辿ると【意=心の働き。思っていること。気持ち。考え。】【匠=すぐれた技術、あるいはそれをもつ人】とあります。私はこれを「想いを表すために工夫を凝らすこと」と解釈しています。こう聞くと、専門家でなくとも誰しもが日々やっていることだと感じないでしょうか?「ある事を直接会って伝えた方が良いか電話で伝える方が良いかメールにするか、あるいは別の方法で…」と考え始めた時からデザインするという行為は始まっています。私の仕事はその延長線上にあります。

デザインはどこから生み出されるのか?

 デザイナーは、成果物やその名前のひびきから何かおもしろいアイデアを自ずと考えてくれるというイメージを持たれます。それは誤解です。デザインのアイデアはお客さんの「想い」から生まれます。デザイナーが用意しているものではありません。「想い」がより明確であればあるほど、より強いほど良いデザインは生まれやすいのです。良質なアイデアはお客さんとデザイナーの綿密な共同作業から生み出されるものなのです。お客さんの「想い」をはっきりと理解することはデザインの仕事をする上で一番といっていいほど重要なことです。

デザイナーの役割

 先日新しい服を着て出かけたとき、待ち合わせた友人に「襟に服のサイズのシールが付いているよ」と言われ、はっとしたことがありました。私はその友人と会うまでの間ずっとSサイズのシールを付けたまま電車に乗り、街を歩いていたわけです。前述で「想い」がより明確であればあるほど、より強いほど…と述べましたが、自分のことをしっかりと自覚するのは難しいことです。そこでデザイナーは客観的な立場から質問を繰り返し、的が絞れてきたら「こんな工夫をしたら想いが伝わり易くないですか?」とデザインアイデアを提案していきます。認識可能になった姿(アウトプット)を見て初めて「想い」が明確になることがよくあります。こうしてお客さんの「想い」を一緒に探り当てると同時に、認識可能なわかりやすい姿にまで持ち上げること(ビジョンをビジュアライズすること)がデザイナーの担っている役割だと思う
のです。
JR矢部駅周辺の住宅   SICアドバイザー権藤徹志さん画