かわらばん地域版68号 2020年9月
ロボットセンター開所5周年記念特集
 さがみはらロボット導入支援センターの歩みとこれから
SICが相模原市から受託して運営している“さがみはらロボット導入支援センター”が、本年9月に開所5周年を迎えました。中小企業のロボット導入支援や相模原市におけるロボット産業振興に取り組んできた5年間の歩みと、これからの取り組みについてご紹介します。
センター概要
さがみはらロボット導入支援センターでは、①中小企業における産業用ロボットの導入支援を通した生産性向上支援や、②自動化システムの構想・設計・製作等を担うロボットシステムインテグレータ(SIer)の育成を通したロボットビジネス支援に取り組んでいます。そのために、自動化相談・コンサルティングやデモシステム展示、人材育成セミナー、産業用ロボットビジネスフォーラム、展示会出展、ロボットの国際競技大会への参加など、多岐にわたる取り組みを行ってきました。
センターを担うのは、SICのインキュベーション・マネージャーに加えて、長年にわたり製造業で自動化や改善などの実務経験を積んできたコーディネーター陣です。現在、センターには4名のコーディネーターが在籍しており、それぞれの専門性を活かし、自動化に関する企業支援活動やセミナーなどの事業運営に取り組んでいます。
実績・事例
開所から5年間の累計来所者数は、4,700名を超えています。そのうち具体的な自動化相談件数は、約150件です。中小企業の皆様より寄せられる相談に関しては、必ずしも「ロボットの導入」が最善策とは限りません。センターでは、「ロボットありき」の支援は行わず、改善活動やIoT活用、治具製作など、相談企業やその現場・工程に応じて最適な支援を提案・実施しています。
人材育成においては、「ものづくり企業のための生産プロセス改善講座」を開催しています。「自動化・ロボット」だけでなく、「改善」や「工場安全」、「IoT」などのテーマも取り上げるとともに、座学だけでなくロボット操作セミナーも開催してきました。また、「ロボットSIer養成講座」では、実際の自動化案件実習を通して学ぶカリキュラムが特徴的で、毎回定員を上回る申し込みがあります。また、市外・県外からの参加も多く、企業にとっては、人材育成に加えて、他社とのネットワーク形成にも役立つ講座となっています。
今後の計画
コロナ禍においては、オンラインでの自動化相談にも積極的に取り組んでいます。最近では、コーディネーターが親身な相談対応を行ってきた結果、1社あたりの相談回数が増えています。実際に、課題を具体化し、SIerとのマッチングにつながった事例もあります。また、展示会が軒並み延期・中止となる中、ロボットや関連部材メーカーの販路開拓支援と地域企業への有益な情報提供の一環として、プライベート展示会やセミナーの企画にも力を入れています。
ロボット導入支援センターは、ものづくり現場の課題を気軽に相談できる「場」、現場の担い手が育っていく「場」、多くの人や企業が集まり新たな技術・価値やプロジェクトが生まれる「場」など、様々な形で地域の人や企業が元気になる場づくりに取り組んでいきます。
20年以上にわたり、中小・ベンチャー企業支援や地域産業創造に取り組んできたSICにとって、相模原市とともに取り組むロボット導入支援センター事業は、まさにSICの企業理念を体現する事業の一つと言えます。ロボット導入支援センターだけでなく、地域のビジネス・インキュベーターとして、ロボットなど成長分野の企業が集まり、新たな連携・協業が生み出されるハブとしての活動をよりいっそう加速させていきます。