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     専門家コラム
かわらばん地域版80号 2022年9月

研究開発に使える補助金(全3回)
   「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech)」の活用を考えてみませんか? <第2回>
 前回は成長型中小企業等研究開発支援事業(通称:Go-Tech)の概要をご紹介をしました。ここではGo-Tech事業の特徴を見ていきたいと思います。

(1)川下企業や市場のニーズを踏まえた技術の高度化を支援
 研究開発というと大学や研究機関で取組んでいるテーマを思い浮かべられる方が多いと思いますが、Go-Tech事業では川下ユーザ、つまり「市場が求める技術」の高度化を支援します。例えばこれまでの加工方法では実現できなかったロボット用の部品というようにユーザニーズとその後の事業化の可能性があることが必須申請要件です。技術分野は幅広く、加工方法、機械、制御、材料、システム、さらにはバイオまで、技術開発の目的が市場ニーズ視点であれば申請可能です。また今年度からは高度なサービス開発も支援の対象になっています。支援対象の技術分野は中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化に関する指針に該当するものすべてが対象です。
 詳細は(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/shishin.html)でご確認ください。

(2)共同体を構成すること
 Go-Tech事業の最大の特徴は企業単独での申請ができず、共同体を構成する必要があることです。共同体で必須なのは「事業管理機関」と呼ばれるプロジェクトマネージメントを行う組織と「主たる研究等実施機関」、つまり研究開発を主導する中小企業者です。Go-Tech事業は予算規模が大きく、複数の企業や大学等が関わるプロジェクトになるために「事業管理機関」が必須とされています。「従たる研究等実施機関」には中小企業者や、大学等の研究機関、「アドバイザー」には川下ユーザや学識経験者が参画することが一般的です。

(3)補助金額と補助対象経費
 補助金額については前回もご説明しましたが、3年間で最大9,750万円(出資獲得枠は3億円)です。注目したいのは補助対象経費で、物品費(設備、備品、消耗品等)、人件費、旅費、委託費、その他(外注費、知財関連経費等)、間接経費と幅広い費用が補助金の対象になっています。システム開発のように人件費が多く発生する研究開発には有効です。

 活用を積極的にご検討いただきたい制度のひとつですが、複雑なのが玉にキズで、公募要領を見ても複雑でよくわからないと言われる方が多くいます。中小企業基盤整備機構の中にGo-Tech事業専門の無料相談窓口がありますので、詳細について知りたい方は申し込んでみてください。
http://www.smrj.go.jp/regional_hq/kanto/sme/supporting_industry/index.html

 次回はGo-Tech事業(旧サポイン事業)の実績をお持ちの企業様に研究開発のご経験を紹介していただく予定です。

〇 佐々木 浩子 〇
株式会社ポラリス 代表取締役
25年にわたり精密機械メーカに勤務し、主に技術開発・事業開発を担当。中小企業診断士登録後、2015年株式会社ポラリスを設立。企業の課題や悩みを整理し、技術、サービス、ノウハウなどをサポート。企業や経営者の想いを“可視化” することを理念に掲げている。
株式会社ポラリス                  代表取締役 佐々木 浩子