■自然と環境と共存できる新しい電気設備の構築を目指す
1.はじめに
環境にやさしい発電方式として,太陽光,風力などの自然エネルギーや燃料電池を利用した新しい発電が注目されています。われわれのグループでは,そのような発電システムを効果的に利用するための研究や当該分野における技術者養成のための教材開発などを行っています。
2.低炭素発電システムの実現可能性の検討
低炭素発電システムとは,太陽電池で発電した電力を負荷に供給しつつ,余剰分をバッテリーに充電するとともに,雨水オゾン処理装置でオゾン水を生成するシステムです。図1は本システムの太陽電池アレイ(出力4 kW)です。オゾン水は生活用水として利用すると同時に,その一部を電気分解して水素を生成して燃料電池の燃料として蓄えます。夜間使用する電力についてはバッテリーおよび燃料電池でまかないます。これは電力系統との電力のやり取りを最小限に抑えたシステムです。本システムの運転特性を検証することで,その実現可能性について検討しています。
3.電力貯蔵用電力変換装置の開発
自然エネルギーを利用した発電システムが大量に導入された場合,出力を安定させるために電力貯蔵技術が必要です。太陽光発電システムとバッテリーとを組み合わせたシステムに適した電力変換装置について検討しています。
4.ウッドセラミックスを用いた燃料電池の開発
ウッドセラミックスは木材や紙などの植物由来の材料から製造される炭素材料です。ウッドセラミックスを燃料電池の電極に適用することで,安価で環境負荷が小さい燃料電池の開発を目指すとともに,ウッドセラミックスの新たな可能性について検討しています。研究の結果,燃料電池の電極として広く用いられているカーボンペーパやファインカーボンと同程度以上の特性が得られることを確認しています。また,ウッドセラミックスのライフサイクルアセスメント(LCA)も行い,環境に及ぼす影響の評価も行っています。
5.セミナーの実施および教材開発
研究を通して得られた知見を基に,関連する分野の技術者を養成するためのセミナーを実施したり,教材を開発したりしています。以下にテーマの一例を示します。
・太陽光,風力発電および燃料電池発電の基礎
・太陽光発電用パワーコンディショナ製作・評価
・固体高分子形燃料電池のMEAの製作・評価
その他,われわれのグループは,SIC燃料電池研究会のメンバーとして活動に参加しています。
問い合わせ先
住所:相模原市緑区橋本台4-1-1
TEL:042-763-9262
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