かわらばん入居版53号 2008年9月
青山学院大学 Aoyama Gakuin University
 理工学部
機械創造工学科
准教授 長 秀雄 氏
はじめまして、青山学院大学 長 秀雄(ちょう ひでお)です。
現在、研究室では光と超音波を利用した材料や構造物の特性評価や非破壊検査の研究を行っ
ております。
最近では、非破壊検査の中でもアコースティック・エミッション法という技術の研究に力を入れております。昨年7月にアメリカで大きな橋の崩落事故がありましたが、大きな構造物があのように破壊することは恐ろしいことですし、あってはいけないことです。
そこで、それを未然に防ぐため検査が必要となりますが、あのような大きな構造物のなかの小さな欠陥を探すのは至難の業です。
しかし、大きな破壊の前には必ず小さな破壊が発生しており、その小さな破壊とともに超音波が放出されます。それをアコースティック・エミッションといい、それをセンサで検出できれば、橋が崩壊するまえに欠陥の発生を知ることができ、修理等が可能となる技術です。
この技術には圧電素子というセラミックスがセンサとして使われてきましたが、大きな構造物に多くのセンサを設置するのはそれだけでも大変です。
そこで、本研究室では、光ファイバをセンサとして利用できるシステムを開発しました。光ファイバは、細く、柔軟でかつ軽量であることから大きな構造物にも簡単に設置でき、長い間使用できるという利点があります。
この技術は、大きな構造物だけではなく、機械の異常診断にも使えると思っております。
ご存知の通り、機械の調子が悪くなってくると“ガタガタ”、“ピシピシ”というような音が聞こえてきます。この“音”から機械の調子を判断するのが非破壊検査ですが、経験のある技術者(職人)だけが可能な技です。
しかし、光ファイバセンサを使えば、耳には聞こえない“超音波帯での音”の変化を察知して機械の異常を知らせてくれるはずです。
光ファイバセンサに関する研究は、現在の何社かの企業と連携して研究を行っておりますが、残念ながら相模原市の企業の方とはお会いする機会がございませんでした。
もし、私ども研究がお役に立てるチャンスがあるようであれば、是非、声をお掛けください。
よろしくお願いいたします。
学生と実験している様子