「手作り酸素センサ」を作製し、酸素に関わる様々な現象を研究
高橋研究室では、我々身の回りに存在する自然現象で酸素に関わる研究をしています。
酸素は、我々が生命を維持するためには必要不可欠な物質というだけでなく、動物や植物の呼吸、物質の燃焼、植物の光合成、金属の腐食など、身の回りには酸素に関わる自然現象が多く存在します。
教育現場では、生徒一人ひとりが酸素センサを理科実験に使用するにはセンサは高価なため難しい状況にあります。そこで本研究室では、安価で誰でも簡単に組立てができる、手作りによる酸素センサを作製しています。このセンサの原理は、隔膜ガルバニ式酸素センサと呼ばれるもので、大気中
の酸素や溶液中の溶存酸素を計測できるため、理科教材の開発には最適なセンサです。電極は貴金属の金と卑金属の鉛でできています。電解液には洗濯のりと重曹の混合液を使用しています。酸素透過膜には身近なポリエチレン膜を使っており、実験中に酸素透過膜が破れても簡単に交換できるように工夫されています。見かけは同じ透明なラップでもポリ塩化ビニリデンからできているサランラップ
やクレラップは酸素を透過しません。
ポリエチレン膜には酸素を透過する機能性があることを認識することができます。様々なラップの酸素透過性の評価にセンサも使うことができます。
理科の探求型実験として、人間の呼気やカイコの呼吸、金魚の呼吸、水藻の呼吸、ほうれん草の光合成、使い捨てカイロの酸化還元反応、洋ロウソクと和ロウソクの燃焼反応、スチールウールの燃焼反応、ブタンガスの燃焼反応、バナナの内呼吸、りんごの内呼吸、赤ピーマンの内呼吸など簡単に計測することができます。一方、ポリエチレン膜が簡単に交換できるため、酸素センサをメディエーターとしたバイオセンサの開発にも適しています。キュウリの表皮の薄片を電極に装着するだけでビタミンCセンサになります。また、ジャガイモの薄片を使うとカテゴールセンサ、バナナを使うとドーパミンセンサになります。この手作り酸素センサは多様なバイオセンサを開発するには、取り扱いが簡単で非常に使い易く便利なセンサです。酸素センサが劣化した場合は、サンドペーパーで電極を磨くだけで何度でも繰り返して利用できるためとても利用価値の高いセンサといえます。
最近は、マイクロ酸素センサを使って根の研究もしています。ベニバナインゲンの根に湛水処理をおこなうと酸欠状態になり、その結果、根の先端が膨潤し、中心柱柔細胞群の崩壊が起こって空隙が形成されます。そのメカニズムの解明をおこなっています。
植物は、生命を維持するために根から養分を吸収し、水を吸収し呼吸もしています。水のやり過ぎは、呼吸困難となり根腐れが生じます。根の研究を例えていうならば、人間の頭の部分を研究しているようなもので、人間を逆立ちして頭と両手を土壌に入れた状態が根ということになります。ちなみ
に日本文化には根による言葉が多く、「根気、根源、根幹、根本、根性、垣根、尾根、屋根、草の根、根絶、根を張る、根に持つ、根も葉もない、島根など」根を研究していると生命の力強さを感じることができます。
私の仕事は、どの様な環境でも社会に根付く学生を育成することだと考えています。
問い合わせ先
<共同研究について>
東京工業高等専門学校 総務課企画係
TEL:042-668-5116
http://www.tokyo-ct.ac.jp/
<技術相談・試験依頼などについて>
東京高専産業技術センター
E-Mail:
kenkyo@tokyo-ct.ac.jp
http://xythos.tokyo-ct.ac.jp/dpt/tecno/tc.htm