かわらばん入居版65号 2009年9月
石川の東海道 道中記 第12回
 ― 平成21年6月27日(土)水口峠~草津宿 ―
JR 草津駅を5:36 出発。草津線貴生川( きぶかわ) 駅で近江鉄道に乗り換え30分待ち、水口城南駅まで一駅で6:40到着。早速、駅に隣接する水口神社を詣でる。4月には華やかに曳山祭が開催されるそうで、近くには曳山を町内ごとに収納している「山蔵」が並んでいる。大徳寺・心光寺に立ち寄り、水口城へ向かう。
城は湧水を利用した水を堀に湛えていたことから「碧水城」といわれ、角櫓が復元されていて中には資料館があるが早朝のため見学できず残念。五十鈴神社・一里塚を過ぎると町外れとなり一直線の道となるが、これを「北脇縄手」と呼んだそうで、縄手とは「田の中の道」のことで江戸時代の道路整備の結果とか。西進すると野洲川の堤には街道で一番大きいといわれる高さ10.5mの大常夜灯がある。川をわたり湖南市に入っていくが、家々の玄関には信楽が近いのでたぬきの焼物が愛嬌を振りまいている。天井川の大沙川・由良谷川のトンネルをくぐり3 km ほどで「京立ち石部泊まり」といわれ、京を発った旅人の最初の宿場であった石部宿に入る。
石部から草津へは平坦な田園地帯で右手に近江富士が優しい端正な姿をみせている。しばらく進むと家康が腹痛を起こした時、この薬でたちまち治り自ら「和中散」と名付けたという薬の豪商の家があり、大名や公家の休憩所にもなっていた。
旧草津川を越えると草津宿に入る。中山道と東海道の分岐点には追分道標(写真)が建ち、ほどなく当時の姿を残す全国で唯一といわれる草津本陣がある。建坪468坪、部屋数30室以上もあって国の史跡に指定されている。街道沿いには造り酒屋や明治時代創業の老舗が多く見られ、宿場としての賑わいをみせている。常善寺・立木神社を過ぎ3km ほどで、昔はこんこんと泉が湧き景勝地であった野路萩の玉川そして弁天池を過ぎると狼川を越え大津市へ入る。時刻も16時を回ったので、一里塚跡の石碑で本日は終わりとして、JR 瀬田駅に向かう。二駅戻って草津泊、今日の歩行距離は30km でした。
つづく