かわらばん入居版100号 2012年8月
証言で綴るSICの歴史
 ~創業の一時期に参加して その2~ 野村会計事務所 代表 野村 隆
SIC設立当時から監査役をされていた野村隆氏がこの6月退任されました。前号(8月号)につづき、これまでの13年間を振り返り、ご寄稿いただきました後編です。
バブル期までは新規創業は活発で、開業相談は多く、会社法改正前で株式会社にするか有限会社にするか、資本金をどう調達するか、役員をどうするか等と事業計画の策定に忙しく動きました。創業者が多い反面、倒産企業も多く、月1800件位の状況でした。
経済成長率の低下につれて、創業者数は低調となり、特に製造業においては居住地域での工場操業が制限されたため、創業・拡張が難しくなっていました。新規の事業内容はハードからソフトへ変化してきて、学生によるベンチャー企業の設立やニッチ産業に対する創業が持て囃され、それを支援する組織が多数作られてきました。
事業計画を持っている企業家を支援するベンキャーキャピタルも輩出しました。
企業の資金調達は金融機関からの借入とする間接金融から株式発行・社債発行による直接金融が取り上げられました。中小企業大学校で財務管理のゼミを担当していた10年間にも卒論テーマに直接金融・間接金融の得失の研究が増えました。
このような経済背景の中、SICは土地・建物を相模原市と国の出資で取得して借入金なしにスタートしたのですが、運転資金がありません。初代社長は運転資金のために増資をして市内の団体企業に出資を求めました。
市と国以外の株主はこの時に出資した企業・団体で譲渡により若干の異動がある程度です。株主は創業の意思を引き継いでいます。
SICは第三セクターとして、全国初めて配当を実施しました。これを決定する取締役会では内部留保を主張する役員と、配当して第三セクターの活性化を示すべきであるという役員に分かれて議論をしました。配当は2回だけで終わっています。SICの役員会は年齢経験に関係なく自由な発言が出来ることが優れている特色です。
現状の経済環境は停滞から脱せず、今年上半期の新規上場は18社で年間でも37社の見込みと報道です。
厳しい時こそ成長の機会があるものと思っています。
摩擦が無ければ成長はありません。「初心忘るヽべからず」を忘れずに今後数十年・数百年、株式会社さがみはら産業創造センターの発展を祈ります。
今年も、暑い中、ジュニアアントレの最終日を見守ってくださいました。