かわらばん入居版84号 2011年5月
中嶋社長のつぶやき
 「非常時のリーダーシップ」
2011.3.11「東日本大震災」から、2ヶ月が経とうとしています。地震、津波、原発の三重苦は、その被害の深刻さを増加させています。産業界での影響も大きく、バリューチェーンが分断され、復興への道筋が立たない分野もあるようです。経営者の皆様にとっても、大変悩ましい2ヶ月ではなかったかと推察いたします。一方で、この困難を乗り越えて、復興に向けて立ち上がる動きも出てきたようです。その様なお話を聞く度に、「どうか早期にビジネスを再建して欲しい。」と願うと共に、この困難に勇敢に立ち向かっている経営者や社員の皆様の姿に頭が下がります。
さて、今回は、前回「BCP」(事業継続計画)に続き、「緊急非常事態」のテーマとして、「非常時のリーダーシップ」について、ご紹介いたします。「危機管理」で有名な 佐々淳行(さっさ・あつゆき)氏は、著書「平時の指揮官 有事の指揮官」(文春文庫1999.11.)の中で、「このような危機の状況下で、人間集団にとって最も必要なのは『指揮官』である。」「普段は根回し、円滑な満場一致、話合い、繰り返される会議などによる『調整』が尊ばれる。」「しかし、『阪神大震災』のような非常事態、つまり有事にあっては、意思決定は指導者の『決断』、それも場合によっては少数決、いや、独断専行によって行わなければならない。」平時と有事では、リーダーの役割、あり方などが、まったく異なる。「長々と会議をやっていると、倒壊した建物の下敷きになって助けを求めている人々が死んでしまうかもしれないからだ。」
もう一つの話です。ハリケーン・カトリーナとBP原油流出事故の対応指揮を執った元アメリカ沿岸警備隊司令官のThad Allen氏のインタビューの要約です。非常時のリーダーのあり方について、ひとつのお手本です。
「自然災害や大規模事故などの未曾有の危機に直面した時、想定外の問題が噴出し、現場は混乱に陥る。そこでは、規則やマニュアルに頼ったやり方は通用しない。このような状況下で、人々の心を一つにまとめて事態の収拾に当たるためには、何よりも強力なリーダーシップが求められる。」「大きな危機の際には、一つの目的の達成に向けてみんなの能力を統合し、努力の結集を図ることが必要。」「また、期待される成果を達成するためには、過去の経験や原理原則に縛られずに、現実に起こっている問題の本質を見抜き、臨機応変にメンタル・モデルを順応させること」「リーダーシップは最前線の現場でも、中央本部からでもあらゆる場所から発揮しなければならない。軍隊でもビジネスでも通用する、優れたリーダーの条件は、柔軟性、機敏さ、好奇心を持つことだ。」(ハーバード・ビジネス・レビュー 2011.2.P78 「非常時のリーダーシップ」ダイヤモンド社)「非常時のリーダーシップ」は、簡単ではなさそうです。
2011.3.11. 「東日本大震災」は、リーマン・ショックを超える企業経営へのインパクトとなっています。特に、電力供給不足は企業競争力を低下させる大きな要因となっています。産業構造の大きな転換点となる可能性もあるかもしれません。いずれに致しましても、経営者の皆さんの「リーダーシップ」はとても重要です。佐々淳行氏は、「指揮官、責任者とは、孤独な存在なのである。」「その苦しみに耐え、人々のために最善と信ずる道を選び、その結果生ずる全責任を負おうとするのが指揮官魂というものだ。」と。
そうは言っても、社長一人で全部背負ってしまうことも、無理・無茶かもしれません。それぞれの企業の中で、経営幹部の皆さんと共に、力を重ね・合わせた経営マネジメントチームとして対応することが、求められます。
もう一つ、SICスタッフをもっとモット利用してください。SICのスタッフに相談してください。こんな時だからこそ「皆さんのお役に立ちたい」と強い思いを持っているスタッフを頼ってくれると嬉しいですね。
そして、この未曾有の「危機」を乗り越え、被災地復興のため、日本復興のためにも、私たちの「成長」「成功」を手に入れましょう!!