かわらばん

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     社長のコラム
かわらばん入居版89号 2011年9月

中嶋社長のつぶやき
   SICのヒマラヤ杉。台風で倒れる。
 去る9月21日 台風15号が、首都圏を直撃した。非常に激しい雨、強い風がSICの建物に吹き付ける。いたるところで、電車が止まった。停電となる地域も数多くあった。物流が麻痺した。首都圏サラリーマンの帰宅の足が奪われ、混乱を極めた。そんな混乱の中で、SICのヒマラヤ杉が倒れた。午後6時頃だったようだ。この杉は、SICが出来る前からこの場所に存在していた。SICのシンボルでもあった。ここ西橋本の再開発された地域は、旧国鉄の橋本車両センターという施設だった。戦前、自動車関連の工場として発足。1945年(昭和20年)、橋本自動車工機部として国鉄の中に組み込まれた。1973年(昭和48年)には、橋本車両センターに改称。主にディーゼル車両のエンジンの分解整備を行っていた。その工場の正門に立っていた。約65年の歴史を刻んでいた。まさか、この木が倒れてしまうとは・・・・。
 目撃情報によれば、いきなり倒れたのではなく、徐々に傾きながら最後は横倒しになったとのこと。周りの状況から推察すると最後の衝撃は、かなり強そうだ。駐輪場にあった自転車13台が下敷きになった。但し、人の怪我と車の被害は無かった。被害にあった自転車所有者の方には大変申し訳ないのですが、不幸中の幸いであった。もし、倒れた方向が道路側であったら・・・。
 倒れた木を近くから観察すると思ったより高く、大きかった。木の頂上に近いところには、カラスの巣らしきものが2つ。針金ハンガーが多数集められ上手に作られていた。もうひとつ、特徴的だったのは、樹木の大きさに比較して、「根」が小さいこと。広葉樹に比べて、針葉樹は根の張り方が少ないようだが、それにしても根が少ない。土との関係性が弱い。だから、強い風に耐えられなかったのだろう。

 今年は、東日本大震災以外でも、台風、雨による水害などが各地で数多く起こっている。想定を超えることが多いように感じる。ビジネス環境は激動だが、自然環境も激動の時代なのだろうか。いつも「大変な時代」になってしまったのだろうか。こんな時代を乗り切るには、「失敗から学ぶ」「BCP」など「想定外」に準備する努力、工夫も求められる。そして、「基本」「基礎」「基盤」などの言葉が、ここでのヒントになる。台風の強い風雨、そのほかの天災に対して、耐えられる樹木は、「根」と「土壌」がしっかりしていることが最初の条件ではないだろうか。言葉を変えると「土壌」と「根の張り方」だ。「土壌」が肥えていれば「根」が育ち、樹木が成長する。「根」が強ければ、風にも、雨にも、日照りにも、強くなる。「土壌」と「根」を大切にしていると期待する果実が出来る。

 表出している成果には、そこに至るプロセスある。結果には、原因がある。反面、見かけは、立派でも「土壌」が枯れ、「根」が弱くなると樹木は倒れてしまう。企業経営にも通じることではないだろうか。
2008年撮影
倒木した様子