かわらばん入居版82号 2011年3月
「東北地方太平洋沖地震」による緊急点検の結果
■緊急点検の結果総括
1.SIC-1、SIC-2では建物の特性が異なるので、SIC-2の4階以上(特に7階)では、震度5強程度の揺れがあった可能性があります。
2.SIC-1、SIC-2ともにS造(鉄骨造)ですが、RC造(鉄筋コンクリート造・剛構造)に比べて地震時の揺れが大きい柔構造です。それは地震の力を柔軟な構造を用いて吸収するという考え方です。
3.今回の地震でも、建物は一時的には変形したものの主要構造(基礎、柱、梁、床)は復元し、残留ひずみは認められませんでした。したがって、許容範囲内の変形であったと想定されます。
4.尚、設計上は固定荷重(建物本体の荷重)に積載荷重(人や物など)を加えたモデルに地震力を水平力として加え、その変形を検討します。SICでは、積載荷重を多めに設定していますので、部屋に設備機器があっても一定の安全性が保てるようになっています。
5.壁、天井、ケーブルラックなどの破損箇所は、早い時期に修繕されることが望まれますが、建物の機能上は急を要しません。
■SICの耐震性能(概要)
入居者の方より、施設の耐震性能について質問お受けましたので、以下に簡略化して説明します。(詳細な説明は膨大な紙面を必要としますので、概要とさせていただきます。)
1.SIC-1、SIC-2の共通事項
○1981年(昭和56年)6月1日 建築基準法施行令改正(新耐震)の規定に基づき、なおかつその安全性に余裕を持たせた設計としています。
○建物の形状は整形であり、耐震要素の偏りが無く、剛性率×偏心率=形状係数は1.0(最良)である。
○柱材には、変形に対して粘りのあるスーパーホットコラムを採用している。
○柱脚は、阪神大震災にて実績の高い、スーパーハイベースを採用している。
2.SIC-1
○低層でバランスが良いので、構造計算はルート2(層間変形角)を行っている。
○層間変形角は、XY両方向とも、0.2Gに対して<1/250と余裕がある(規定値は1/200、緩和値は1/120)
3.SIC-2
○SIC-1に比べ建物が高いので、より安全な基準であるルート3(保有水平耐力)にて計算。
○必要な条件に対して、約1.3倍の安全率を達成している。
■今後のSICの対応
1.廊下のケーブルラック・照明器具・壁、各部屋の間仕切り壁・天井空調機など修繕が必要な箇所については、順次、修繕を行います。スケジュールについては追って連絡いたします。
2.SIC-2の4階以上の自動販売機は、当面の処置として設置板を滑りにくいタイプに変更しました。
■入居企業へのお願い
1.本棚、備品類の転倒・移動などが見受けられる一方で、壁に固定されている場合は、ほとんど被害が生じていません。壁に設置されている木製の横板は、自由にお使いいただけますので、そのご利用をおすすめします。
2.また、ラボ、オフィス内の設備機器の固定方法についてはSICまでご相談ください。当施設を設計した長崎氏とともに対応します。
平成23年 3月22日
株式会社さがみはら産業創造センター
一級建築士 長崎克央(有限会社創夢設計)