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かわらばん地域版13号 2011年6月
SIC台湾ビジネスマッチング事業について
 神奈川県域ビジネス・インキュベータ連携によるIT/エレクトロニクス分野 研究開発型ベンチャー企業の海外販路開拓等支援事業(関東経済産業局補助事業)
SICでは、関東経済産業局の補助を受けて、昨年12月から海外販路開拓支援に初挑戦しました。対象国は、IT/エレクトロニクス産業を筆頭に成長著しい台湾とし、SICや県内インキュベーションセンターの入居企業など10社が参加し、3月初旬に台湾で商談会を行ってきました。4ヶ月間の事業期間、しかも正月、旧正月が挟まる極めてタイトなスケジュールでしたが、参加者の方々を始め多くの関係者の方々のご協力を得たことで、商談以降の成果が芽生えつつある中、今回の活動をご報告します。
1.なぜ台湾か?
国内メーカーの海外進出が加速しており、国内市場が縮小している現状において、今後、経営基盤の強化を図り事業活動の継続や成長を図るには、グローバルな展開も視野に入れながら事業展開をする必要が生じつつあります。
SICでは、このような状況の中で、研究開発型ベンチャー企業の海外展開を支援する試みとして実施し、台湾を選定したのは、東アジア市場において市場の成長性が高く、低コストであり、生産技術力が高く、IT/エレクトロニクス産業の集積度が高いこと、さらに台湾在住のコーディネータのネットワークが活用できることなどの理由です。
2.目指したもの
初挑戦ではあるものの、目標レベルを、「台湾での個別商談を通じて成果に繋がる活動を目指す。」と高めに設定し、関係者間でのガッツな活動となりました。なお、台湾企業との協業内容は、技術供与・製造委託・販路開拓・購買・業務提携などを想定し、参加企業の募集・打診を進めていきました。
目標の実現に向けて重点的に実施した活動は次のとおりです。
・日本参加企業のヒアリング活動による技術の強み、連携・協業意向の把握
・台湾事前調査による台湾企業への周知・具体的な商談のアレンジに向けた調整活動
・台湾での商談時のコーディネータ同席による円滑な商談と再商談へ向けたアレンジ
・商談後のフォローアップ活動
これらの活動のベースには、台湾現地のコーディネータ・海外展開コーディネータ・調査会社(日本総研)のご活躍があり、本事業に多大な貢献をいただきました。
さらに、1月の事前調査(台湾)において、台湾工業技術研究院(ITRI)を訪問し、商談の協力を得たことが、更なる活動の活発化に繋がることとなりました。
ITRIは、台湾の経済部(経済産業省に相当)が設立した台湾の産業発展を支える財団法人で、研究開発機能に、知的財産移転・ベンチャーキャピタル・インキュベーションセンター・国際ビジネス支援などの機能を併せ持つ、職員数は5,700名のSICからするとガリバーのような巨大な組織ですが、本事業では、ITRIの協力により多くの台湾企業への周知・打診、商談アレンジ、商談会の開催が実現しました。
3.準備活動
1月の事前調査を終えて帰国し、本格的な準備活動を開始。台湾企業への募集、個別商談の実現に向けて、日本参加企業の強みを反映した中国語の概要資料をITRIへ送り、集客・アレンジ活動が進められ、並行して、コーディネータや日本総研のネットワークにより、参加企業ごとの個別商談のアレンジが進められていきました。
4.台湾での商談会
事前準備を終えて、2月28日から3月3日の4日間、参加者24名(参加企業10社12名、オブザーバー3名、コーディネータ4名・事務局5名)により、台湾での商談活動が実施されました。移動日である初日2月28日は、台北・松山空港に入り、新竹に近い南寮という街で、海鮮料理の懇親会を実施。商談会を前にして期待とかすかな不安が混じる中での結団式となりました。
3月1日 台湾工業技術研究院(ITRI)での商談会。午前のプレゼンテーションには多くの台湾企業が集まり、総勢120名に上る活気に満ちた雰囲気の中で、日本企業10社が自社技術を熱心にアピールし、午後には、ITRI内の「Chimei‘s Cafe」において個別商談会、延べ43商談という多くの出会いの場となりました。
3月2日・3日 台湾企業訪問による個別商談活動の日です。参加企業10社が台南・新竹・台北・基隆など台湾各地で蜂の子を散らしたように個別の商談活動を実施。事前のアレンジもあれば、ITRIを契機にした再商談もあり、合計延べ29商談が繰り広げられました。
5.フォローアップ活動
商談会での出会いを成約に結びつけるために、本事業ではフォローアップを重要視し、帰国後に参加企業の商談状況、課題などを把握しつつ、4月末には、台湾でのフォローアップ活動を行ってきました。
去る6月14日は報告会を開催し、約50名の参加者に幅広く活動を報告しつつ、参加企業同士の再会の場ともなり、ミッション団による団体行動の副次的な効果を感じた次第です。
6.成果はいかに
4月末に成果を集約したところ、今回のビジネスマッチングでは、早くも受注に結びついた企業があるなど、具体的な成果が生まれつつあります。
成果を纏めますと、SIC入居企業を始め神奈川県内企業10社が参加し、台湾でのビジネスマッチング(商談会)を実施。台湾工業技術研究院(ITRI)でのプレゼン(120名参加)・個別商談と台湾企業訪問による商談を行い、商談件数は計72件、現時点での成約に至ったのは1件、サンプル評価2件、ITRIとの連携案件2件となっています。
一方、準備・商談活動の全てが順風満帆に推移した訳では決してなく、その過程ではコミュニケーションギャップの関係からのアクシデント発生など、今後の活動の課題として残された案件もあります。
7.まとめ
台湾企業の関心は総じて強く、日本企業と台湾企業との協業の場づくりへと繋がるとともに、具体的な受注及び受注可能性のある案件が生じていることで、一部課題はあるものの当初の目的は達成したものと考えられます。
SICとITRIでは、相互の商談会の開催、ビジネスインキュベーション施設の相互利用など今後の連携強化に向けて協議を進めており、7月には台湾で協定調印式を行う予定です。
SICでは、ITRIとの連携のもと、今後も、台湾との経済交流、海外展開支援をさらに積極的に進めていく予定ですので、ご期待下さい。
<台湾ビジネスマッチング企業名>
相模原地域企業:㈱青電舎、㈱オプトデザイン、㈱共立、クラフト㈱、㈱グローバルヘルス、レボックス㈱
※SIC入居企業含
神奈川県内企業:㈱アポロジャパン、㈱ファインテック、ラット㈱、オーエスエスブロードネット㈱
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