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かわらばん地域版10号 2010年12月

「SIC・KIPフォーラム2010」レポート
 相模原市が政令指定都市へ移行したことを記念し、株式会社ケイエスピーとSIC の主催によるフォーラムを、“モノづくりベンチャー・中小企業の生き残る道” をテーマに、11 月19 日(金)、杜のホールはしもとにて開催いたしました。

 当日は、多くの方々にご参加いただき、KSP・SIC 共に心より感謝申し上げますとともに、今回開催されました内容をご紹介させていただきます。
 基調講演では、神戸国際大学経済学部中村智彦教授* が、「モノづくりベンチャー・中小企業に期待する」と題し、次のような提言をされました。
 周知の通り日本経済の構造は大きく変化している。昨今の経済の閉塞感には地域間にも質的な違いがあり、大都市部はまだまだ経済的活力は残っているのに対して、地方部では悲観的にならざるを得
ない状況が続いている。
 大企業の大規模工場を誘致できれば、20 年、30 年は地域経済が安泰であったのは一昔前のことである。いまや数年のサイクルで技術革新が起こり、工場そのものが海外へ移転することも多い。海外の情勢も急速に様変わりしており、日本が先端にいるという認識はもはや通用しない。加えて、少子高齢化の影響は大きく、我々が経験したことにない時代に入ったことを認識しなくてはならない。
 「プロセス・イノベーション」は今まで日本企業のお家芸であった。しかし、今求められているのは「「プロダクト・イノベーション」である。ものづくりベンチャーに期待されることは作り上げら
れたマニュアルではなく、市場ニーズの変化を捉え、それを充足するための新たな価値創造である。成功体験にしがみつくのではなく、これまでの失敗、つまり“ 過去の未完成” の中からも新たな価値創造が展開されることを期待している。」
 次にパネルディスカッションでは、中村先生がコーディネータを務める中、パネリストとしてSIC入居企業の( 株)グローバルヘルス 代表取締役 田中寿志氏、動物アレルギー検査( 株) 代表取締役 増田健一氏及びサイエナジー( 株)代表取締役 元田良一氏の皆様が登壇され、創業から現在までの軌跡、経営資源(人材、技術・知財、資金)の調達方法や苦労した点、起業家型人材像への思いなどについて活発な意見交換が行われました。
 事業内容や起業に至った理由は三者三様ですが、三名に共通していることは、独自の強みと社会に対する使命感が明確であったこと、ベンチャー企業として最も苦労するのは資金面であるが、様々な
局面で多くの協力者によって支えられてきたこと、そして事業継続のためには市場ニーズをしっかりと捉えることでした。
 最後に、起業を検討している方は、自分が起業する必然性を感じ、リスクに立ち向かう強い意志があれば是非挑戦して欲しいと、後輩起業家へエールを送られました。

* 神戸国際大学経済学部 中村智彦教授
地域経済・中小企業研究の専門家で、中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトに数多く参画するとともに、日本テレビ「世界一受けたい授業(社会科工場見学)」に出演。