かわらばん

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     専門家コラム
かわらばん入居版57号 2009年1月

企業をサポートし隊!!
   シリーズ企画 企業支援の現場から・・・消費税とリース取引 3回連続
消費税とリース取引~簡易課税と免税業者はご注意を!~
 天野税理士事務所 
 税理士 天野 俊裕

 先日、顧問先の社長さんより「リースで2,000万円の機械を導入したいんだが・・・」との質問を受けました。この会社は、従業員が5 名程度で、長年この相模原で製造業を営んでいます。ここ2、3年の間は、売上高が4,000~ 5,000万円で推移(簡易課税を選択)していて、生産効率を向上させるため、新たな設備投資に迫られていました。

○消費税のしくみ
 消費税の計算方法には、①本則課税と②簡易課税との2種類があります。本則課税は
【 預った消費税(売上など)- 支払った消費税(経費や設備投資)】で計算しますが、簡易課税は

【 預った消費税(売上など)× 一定率 】で計算します。
 年間の売上高が5,000万円以下の場合は、どちらの制度でも選択できますので、この会社の場合は、どちらを選択してもOK ということになります(もちろん両者を比較して税額が安いほうを選択します)。また、5,000万円を超える場合には、本則課税しか選べません。

○免税業者なのにあえて申告をする?
 年間の売上高が1,000万円以下の場合や開業して最初の2年間(資本金が1,000万円未満の場合)は、そもそも申告義務はないのですが、それでもあえて本則課税を選択する人がいます。それは、上の計算式でもわかるとおり、本則課税の場合、例えば設備投資などが多額になった場合は支払った消費税が一時的に多くなって、計算結果が「マイナス!」という場合があり、この場合は申告をすると還付金を受けることができるためです。

○やっかいな簡易課税・・・。
 ただ、ここで注意しなければならないのは簡易課税の場合です。簡易課税の場合は、計算式の答えがマイナスになることは絶対にないので、どんなに設備投資をしても、簡易課税を選択しているかぎりは、還付金はおろか、逆に納税をしなければならないことになります。ですので、本則課税よりも
簡易課税の方が「常にお得!」とは言い切れないということです。ちなみに、簡易課税を選んでいる場合は、消費税の申告書の右上に(簡)という印がついています。

○選択するタイミングは?
 本則課税や簡易課税などの計算方法を選択する場合は、「その計算方法を採用したい期間が始まる前まで」に届出書を提出しなければなりません。ですので、「来期はどうなるかなぁ」と予想しながらの作業になります。よくある話は、簡易課税を選んでいた期間にもかかわらず、消費税のシュミレーションをしないで、その期間内に設備投資をしてしまったというものです。してしまってからではもう後戻りはできません。

○必ず税理士に相談を!
 消費税の計算方法の選択には、ここに書かれていること以外にも、数多くの要件や予想が必要になります。ですから、建物、機械設備、自動車などの多額の資金を要するものを購入する場合には、実行前に必ず税理士にご相談下さい。

社長「なるほど!でもうちの場合はリースで、月々賃貸料を払うんだから消費税は関係ないよね?」

私  「 社長。実は最近ですね・・・。」    

(次号につづく)