かわらばん

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     専門家コラム
かわらばん地域版31号 2014年7月

「アジア経済事情と海外進出事例」 フィリピン編
   JETRO協力企画
 日本貿易振興機構( J E T R O )にご協力していただき、6 回シリーズで東南アジア6 か国( フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、カンボジア)の経済事情とJ E T R O の支援サービスを受けて海外進出した事例を紹介します。

― フィリピン経済―
 2013年のフィリピン経済は、好調なサービス産業、輸出の回復、旺盛な個人消費が原動力となり、実質G D P 成長率は7.2%となり、アジア主要国の中でも高い成長率となっている。2013年の貿易動向をみると輸出は、2年連続で増加し、567億ドル、輸入は前年比1.1%増の624億ドルで13年連続の入超となっている。最大の輸出相手国は日本、米国、中国の順。輸入相手国は中国、米国、日本の順。日本は2009年から5年連続して最大の貿易相手国となっている。

 日本とフィリピンの貿易を品目別にみると、フィリピンから日本への輸出は電気機器(構成比35.3%)、果実及び野菜(同10.3%)、一般機械(同10. 1%)の順になっている。日本からフィリピンへの輸出は電気機器(31.9%)、一般機械(16.9%)、輸送機械(11.7%)となっている。

 2013年のフィリピンへの直接投資(認可ベース)は過去最高を記録した2012年より5.4%減の2,740億ペソとなっている。日本からの直接投資は、国・地域別で2009年から3年連続でトップの座にあったが2012年は2位、2013 年は第3位と後退している。

― 進出企業とJ E T R O 支援サービス―
 各種小型DCギアドモーター、各種スポーツタイマーなどの製造、販売を行っているツカサ電工株式会社(東京都中野区)は2002年に中国深圳に製造拠点を設立したが、中国リスクを回避するため、第二の海外製造拠点を東南アジアに作ることを検討していた。候補にあげたフィリピンには、精密機器部品のサプライヤー2社及びATM、自動販売機のメーカーなどの客先が既に進出しており、ビジネスに直結できるメリットがあった。

 ジェトロの「新興国進出個別支援サービス」で担当となった専門家がツカサ電工とともにフィリピン出張にも同行し、幹部社員採用、就業規則作成などに協力した。一方、ツカサ電工の製造法人TSUKASA ELECTRIC PHILIPPINESINC. が当初適当と考えていた工場団地は、セキュリティゲートから予定していた場所まで離れすぎている問題があって、日本の商社が開発した工場団地に用地を切り替えざるを得なかったが、2013年秋に証券取引委員会、フィリピン経済区庁への登録を済ませ、2014年5月に操業開始の運びとなった。

 ジェトロの専門家が、サプライヤーの精密部品メーカーフィリピン法人のGeneral Manager として6年間フィリピンに駐在した経験を持っていたことが大いに役立った。


フィリピンの主要経済統計(2013年) 表はPDF版をご覧ください。
フィリピン(セブ)の主な投資関連コスト(2013年) 表はPDF版をご覧ください。