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     専門家コラム
かわらばん地域版66号 2020年3月

「プレスリリース」ってなに?
   企業をサポートし隊シリーズ - 広報編- かながわ経済新聞代表・編集長、相模原商工会議所編集委員 千葉 龍太
 前回は「広報」と「宣伝」の違いについて書きましたが、今回はいよいよ本題になります。私たち中小企業がメディアに向けて手軽にできる広報とは何があるでしょうか? 私がお薦めするのが「プレスリリース」(ニュースリリースとも呼びます)です。プレスリリースとは、マスコミへの情報提供の手段、報道機関へのお知らせと言えます。採用されれば「展示会などの出展費用」を抑え、「広告宣伝費ゼロ」で周知できるメリットもあります。

 実際、誰もが知っている大企業には必ず「広報部」があり、中にはほぼ毎日のようにプレスリリースを出す企業もあります。こうした企業のプレスリリースは誰でも読むことができます。企業のホームページから「プレスリリース」あるいは「報道発表」などの項目をクリックすれば読めるようになっています。一度ご確認ください。とはいえ、初めて実践する会社にとっては当然、どんな内容を書いたらよいのか? との悩みもあります。しかし、探してみれば絶対にあるはずです。例えば▽ 新商品・新技術開発▽社内外のイベント告知▽新事業▽新工場、新拠点設置―などです。社内でネタを発掘してリリースするのも広報の役割といえます。

 ここで絶対にお伝えしたいことがあります。くどいようですが「広報」と「宣伝」は別物です。プレスリリースとは、いわば「ニュース」です。宣伝ではありません。不特定多数の人、いわゆる第三者が読んでみて「おもしろい」「へえー」「すごい」となるかどうかです。ある企業が新製品のプレスリリースを発行したとします。それに目を通した記者が、自社媒体に掲載する判断材料となるのは、客観的な視点から「新規性」「話題性(世の中のニュースに直結するような)」「独自性」などがあるかどうかです。一般紙の場合、「社会性」(この製品を出すことで世の中がどうなるか。地域がどうなるか)の視点も加わります。専門紙・業界紙の場合は「業界にとってどのような影響を及ぼすか」といった要素が必要になります。

 メディアには、そのニュースを採用することや伝えたことでの「責任」が発生します。「なぜこの話題を書いたのか、掲載したのか」の説明責任があります。客観性がなく、ただただ宣伝色が強いものを掲載したとなれば、当然、ライバル企業や読者からの抗議を受け、媒体の信用性はたちまち低下してしまいます。したがって宣伝色が強い内容は絶対に敬遠されるのです。ある商店が「全品10%割引セールを始めました。消費者にやさしく」とプレスリリースを書いたとします。これは宣伝に過ぎませんし、珍しくもないし客観性がありません。もしこのお店がメディアを使って周知したい場合は、しっかりと費用をかけて広告宣伝をするべきです。

 以上、今回はプレスリリースに対する考え方について書きましたが、次回はいよいよ実践編に移りたいと思います。