かわらばん

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かわらばん入居版78号 2010年11月

株式会社ア・ラビット・サイエンス
【代表プロフィール】
株式会社ア・ラビット・サイエンス
最高経営責任者 佐藤綾子(さとうあやこ)さん
静岡県立大学薬学部客員共同研究員
静岡市在住、40数年間にわたり東北大学薬学部及び静岡県立大学薬学部で元素分析を担当。
学生時代は、テニス、スキー。今は事業に打ち込める毎日がとても充実しているとのこと。

【起業しようと思ったきっかけは?】
 東北大学医学部薬学科在籍中に研究者や学生の新規化合物の構造決定のための元素分析(C、H、N、Cl、Br、I、S)を担当したことにより、化学合成から元素分析の道に入り、40数年間、有機合成化学の実験をサポートし、その間超微量分析を確立した。その技術が学術的研究だけでなく産業界への活用の可能性を見出し、起業セミナーなどで積極的に学び、本年4月に起業した。
 また、ITの発達が起業を大きく後押した。インターネットが普及されていない東北大学勤務時代、研究者相互の情報交換をするためパソコン通信を利用し、インターネット到来まもなく技術者ネットワークを立ち上げた。この時代を先どる感性がITを活用して世界の研究者に超微量分析を提供きると確信させた

【事業紹介】
 元素分析は、物質を構成している元素の組成を正確に定量するため化合物の主構成元素であるC,H,Nの含有量を燃焼分解により定量的にH2O,CO2,N2に変換し,これらの各成分を熱伝導度検出器によりC,H,Nの含有量及びC/N比を分析するものである。
 弊社の元素分析の特徴は、ウルトラミクロ分析の技術を活かしたもので通常の元素分析のサンプル量の1/4~1/10で測定でき、0.5mg以下のサンプル量での有機元素分析を確立している。
 また、C、H、Nに関しては、10μgを検出できる技術を有し、超微量元素分析技術として確立した。自動出力秤量データ、分析装置自動出力データ、計算ソフトウエアによる処理過程を完全電子化し保存することができる。
 この超微量元素分析は、学術的研究だけでなく、農業、環境分野の各種分析に利用することが期待でき、今後、堆肥分野では、C、N及びC/N比の分析が注目されている。販売されていおる堆肥は、外国産が8割を占めるという。弊社独自の元素分析技術が良質の国産堆肥づくりに貢献できると考えている。

【これからの夢または目標は?】
 ノーベル賞で話題の鈴木クロスカプリング反応の時代にも元素分析は主要な論文データであったが、東北大学時代沢山の試料を分析した現新潟薬科大 杉原教授がノーベル賞受賞の根本栄一氏に留学していたと新聞に報じられていたのを見て“元素分析”が化学合成に重要なものであったことを改めて実感した。昨今の分析技術の中でも物質質量を測り、炭素、水素、窒素の確かな分析として継続させることを決意している。
 弊社独自の元素分析技術で社会活動、社会貢献をするため、低価格で多くの方に気楽に利用していただきたいと思っている。
SICに入居し、入居企業の皆様との出会いが目指す事業を形づくり始めた。起業から7ヶ月、自分で会社をつくり、自分で判断することが事業経営だと実感している。
 今の課題は、自分の判断力を鍛えること。頭で考えるよりまずは行動しようと思う。性格は直球ストライク!まっすぐな自分の強みを活かし、実験科学の世界で培った探究心で事業に挑戦して行きたいと思っている。
 学生時代はテニスに打ち込んできた。テニスの楽しみは、スイートスポットに当たったその快感だった。事業も同じ、苦しさもあるけれど、目標に向かい、実現できる喜びで楽しく事業を続けて行きたい。
 夢は、世界中あらゆる方面に役に立つ"弊社独自の元素分析技
術“を提供すること。会社のロゴにこめられた思い、‘世界を飛び回
る元気なうさぎ(元素分析専門会社)’になりたい。

株式会社ア・ラビット・サイエンス
SICー1 207  http://www.rabbit-sc.jp/