かわらばん

かわらばん

    
かわらばん入居版68号 2010年1月

有限会社 啓(ひらく)
【代表プロフィール】
有限会社 啓(ひらく)
代表取締役 脇田俊昭(わきた としあき)
昭和23年、愛知県豊橋市に生まれ、名古屋市育ち。
現在、横浜市青葉区に在住。
学生時代は、スキー部に所属し、ノルディックスキーを堪能。
社会人になってからは、山岳部に入り日本アルプスをほとんど制覇。
その後、ゴルフをしていましたが、最近は仕事に支配され、健康の為にまたゴルフを再開しようかと考えている。

【起業しようと思ったきっかけは?】
 大学院で電子物理工学(マイクロ波)の研究後、タケダ理研工業株式会社(現在の株式会社アドバンテスト)で超LSIテストシステムの開発を行い、ソニー株式会社に転職。ソニーでは、デジタル磁気記録の研究や、アナログ・ディジタル混載システムの開発を行ってきた。当
時のソニーは、研究開発に関しては自由闊達な雰囲気があった。
 2003年、世界一の高性能を誇る大容量記録密度を誇ったデータレコーダ“DIR-2000”の長年の開発が終了した。DIR-2000は、国立天文台のVERAプロジェクト(銀河系の3次元地図を作成するプロジェクト)用に使用されている超高速のデータレコーダ。外観は、家庭用ビデオデッキのお化けのようなもので、ビデオで言えば8番組を非圧縮で同時に録画できる性能を持ち、磁気テープ記録技術のソニーの最高峰の製品の一つである。価格は家1軒分に相当し、テープは
1本10万円というもの。
 事業再編に伴う早期退職制度に応募し退職した脇田氏は、2004年3月に有限会社啓を設立した。事業の内容は、磁気記録装置の開発コンサルタントを行う傍ら、国立天文台が導入したDIR-2000の保守業務について、ソニーへ技術サポートを行うことになり現在も継
続している。

【事業紹介】
 現在のメイン事業は、受託開発である。その一つとして、国立天文台から発注のあったDIR-2000の互換性を持つVERA-2000の開発が終わり、この度めでたくソウル局への納入設置が完了した。運用開始により、銀河系の観測精度が飛躍的に向上することで、銀河系マップの作成、質量の算出、中心に位置するブラックホールの構造など、銀河系の解明に寄与するものである。
 さらに、同社では、国立天文台が進める“SKA”という新しいプロジェクトに協力、挑もうとしている。
 その他にも、ベンチャー企業とともに脳機能の研究に取り組んでいる。脳波を解析することで、アルツハイマーやうつ病・てんかんなどの解明に貢献するという。
 真面目なる自由闊達で愉快なる技術者達は、アナログとデジタルの技術の狭間を得意技とし、企業の製品開発に協力を行っていきたいと抱負を語る。

【一番苦労していることは?】
営業でしょうか。コンスタントな設計受託業務を求めています。
企業が製品開発をするうえで、技術的な相談を承っています。

【これからの夢または目標は?】
科学技術の進歩に貢献して行くこと、技術を探求し続けることが夢。

※VERAプロジェクトやSKAプロジェクトに関心のある方は、国立天文台のWEBサイト(http://www.nao.ac.jp/)をご覧下さい。

有限会社 啓(ひらく)
SIC-1 303号室 
TEL 042-770-9513 FAX 042-770-9533
E-mail: cherryhill@hirak.co.jp URL: http://www.hirak.co.jp/

DIR2000と 左から 吉田さん 舘さん 脇田社長
開発当時の5枚の基板が、今は1枚にまでコンパクト化されている。
設置されているソウル局
VERA2000が組み込まれた装置