かわらばん入居版89号 2011年9月
証言で綴るSICの歴史
 有限会社 GMP創房
取締役 前田 圭一郎
― 第1回(2回連続でご紹介してまいります) ―
筆者は、10年以上にわたりビジネス・インキュベーション(以降BIと称す)事業に係ってきました。SIC-1の構想・事業計画の策定支援やSIC-1の設計者選定プロポーザルでの審査員として係った1998年~2000年頃の記憶を掘り起こしながら、SICの事業としての当時の特徴や係った人たちの素描によって証言とします。過去、現在の関係者だけでなく多くの方のSICへのさらなる理解の一助となれば幸いです。
■SIC-1は画期的&先駆的事業
SIC-1は、1980年代後半の大規模なBI事業=大手民間企業等の出資を源としたKSP(神奈川サイエンスパーク/神奈川県、川崎市の出資も含む)やKRP(京都リサーチパーク)に代表される民間主導型のBI事業や自治体主導・主体によるBI事業とは異なり、地場企業や地場有志等と自治体が協働した地域密着型かつ小規模のBI事業の展開という観点から、当時は画期的&先駆的なものでした(筆者は、現在も画期的であると思っています)。
BI業界では、前述のKSP、KRP、そしてSICが3大ブランド(3事業とも株式会社方式)と言われることが多いのですが、SICは、その成り立ちも含め先行他2事業と比較した場合に、単に事業規模の違いではなく、質的に全く異なるもの=『同業異業態』と考えるのが妥当でしょう。
その後、厳しい経済環境に起因するのか、KSP、KRPのような大資本型のBI事業の出現はなく、小規模の類似事業、施設が全国にできていますが、そのなかでリスクが高いと言われるBI事業において、SIC-2、SIC-3と事業拡大し、安定的な事業継続をしているSICモデルは高く評価されるべきでしょう。SICへの見学者の多さはその証左と言えるのではないでしょうか。
(つづく)
(有)創夢設計 提供