かわらばん

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かわらばん入居版95号 2012年3月

Super Ox Japan合同会社
   超電導技術で持続可能社会の実現を目指して
【代表プロフィール】
Super Ox Japan合同会社

CEO Dr. Sergey Li (Lee) (最高経営責任者 セルゲイ・リーさん)
Director of R&D Dr. Valery Petrykin (研究開発部長 ヴァレリー・ペトリキンさん)

 セルゲイさんは、現在、八王子住まい。趣味は川釣りで、ウズベキスタンの故郷にいた頃は、良く釣りを楽しんだそうだ。日本で働く奥様と日本の大学を卒業されたご長男は、いずれも日本語が非常に堪能とのこと。

 ヴァレリーさんは、昨年12月にプラハから八王子に引っ越された。趣味は読書、マーシャルアーツそして旅行。現在、Cordelia\'s Honor(Miles Vorkosigan Adventures)を読んでいる。旅行はこれまで20か国程訪問したことがあり、特に海が好きである。国内では、北海道、新潟、福井、京都、沖縄などを旅したことがある。ご長男は、現在プラハの日本語学校
”4年生”で、流暢な日本語を話し、読み書きも抜群だそうだ。

 2人とも旧ソ連で生まれモスクワ大学 ( MSU; Moscow State University)を卒業した。ともにMSUの無機材料学科の同じ研究室を卒業し、セルゲイさんは博士号を、ヴァレリーさんは修士号を取得した。90年代後半に、両者は再び日本で超電導の研究のため働き始め東工大で再会した。セルゲイさんは日本学術振興会(JSPS)の海外特別研究員として東工大で、ヴァレリーさんは文科省の博士課程員として研究を行ない、その後ここで博士号を取得した。
 過去10年間、セルゲイさんは東京の国際的な研究所で働いていた。モスクワ時代も入れるとほぼ25年間無機材料、超電導を研究している。特に、材料合成で高い評価を受けている。
 ヴァレリーさんは蛍光体、光触媒材料を2008年まで東北大で研究し、ここ3年間はプラハのマリーキュリーフェロー研究員として電気化学活性材料を研究していた。ヴァレリーさんは、溶液法材料合成やX線回折散乱による材料構造解析に多くの経験を持っている。

【起業しようと思ったきっかけは?】
 これまで、超電導は人類にとって最も挑戦的な固体材料の分野であった。過去30年ほどの研究の結果、高温超電導が商業段階に近づいてきた。最近、セルゲイさんは有望な結果を得て、ベンチャーをスタートする決心を固めた。セルゲイさんは、強力な研究者の経験と力の融合が商業化技術の発展および超電導線材の商品化に対して競争のかなめであると信じている。
 資金の目途も立ち事業を始める事を検討している時に、昨年の大震災が起きた。日本での起業を誰も薦めない中で、日本を信じ日本人を信じての決断であった。ロシアのハイテク会社と連携した日本で最初のロシアの研究所として、ロシアの仲間も大きな期待をし激励してくれている。

【事業紹介】
 超電導は完全な電気抵抗ゼロを示し、エネルギー使用の効率化、CO2排出削減などに極めて有効である。超電導ケーブル、モータ、風力発電、リニア、MRIなど多数の応用が期待されている。
 そのかなめとなるのが超電導線材である。SIC-3での最初のステップとして、線材の新しい構造、組成、また、製造工程の単純化を行い、成功の暁には、さらに高性能で低コストな長尺線材の量産化を実現したいと考えている。

【これからの夢または目標(長期)は?】
 この研究開発で、超電導技術を日本、ロシアを含め世界中に広めるきっかけにしたい。超電導技術は、人口増加による人類のエネルギー問題を解消し、グリーンな社会、持続可能社会を実現できると信じている。

   
 「長い研究開発人生だが、しかし、初心を忘れず、活発に今回の仕事を進めて行きたい」とセルゲイさんは話す。


Super Ox Japan合同会社
SIC-3 3105 & 3302
☎042(707)7077
左:ヴァレリー・ペトロキンさん(研究開発部長)  右:セルゲイ・リーさん(CEO)