かわらばん入居版56号 2009年1月
企業をサポートし隊!!
 シリーズ企画 企業支援の現場から・・・『人材採用のポイント』3回連続(最終回)
最終回は、求職者が求めている情報は何か、その情報をいかに発信すべきかについて考えます。
SIC インキュベーションマネージャー
上野 泰和(社会保険労務士有資格者)
転職者であれ、新卒者であれ、求職者は、興味を持った企業に関する情報を収集し、検討し、求人に応募するかどうかを判断しますが、多くは「企業の実態を把握できる情報が少なすぎる」と感じています。情報の発信不足が、中小企業の人材採用を困難にしている最大の要因と考えます。
求職者が求めている情報の多くは「どのような仕事ができるのか」「どのような教育・研修制度があるのか」「どのような企業理念の下に経営が行われているのか」「実際の勤務時間や残業時間はどうなのか」「社内の人間関係や雰囲気はどうなのか」「雇用条件はどうなのか」等です。
次に、最も重要な、どのように情報を発信すればいいのかをご紹介します。
①学校等を訪問する(求人票の送付)
多くの企業は学校や職業訓練校等に求人票を送付していますが、企業数が多い為、求職者に見てもらえる可能性は低い。採用に成功している企業は、学校や職業訓練校を訪問し、求職者の志望を把握している就職支援担当者に自社の事業内容や求人内容等を説明し、求職者に直接紹介してもらっています。
②就職(転職)情報サイトへの掲載
求職者は、就職情報サイトから採用情報を探索しています。1つのサイトには、1万件近い求人情報が掲載され、求職者の目に留まらせる事は容易ではありません。そのため、掲載内容の作成では、どのような情報に興味を抱くのか、自社の何を伝えたいのかを明確にする必要があります。
③自社ホームページの採用情報の充実
求職者は、必ずその企業のホームページを訪ねてきます。そのため、求人票や就職情報サイトでは、伝えきれない情報(大手企業と変わらない点、優っている点、劣っているがそれを補うために努力している点等)を掲載し、求職者の「就職したい」という思いを喚起するようなホームページにする必要があります。
④合同説明会への参加(会社説明会の開催)
ここでは、中小企業の強みを最大限に発揮することができます。それは、経営者自らが、会社の歴史や現状、将来ビジョン、自社の特色や魅力、経営に対する考え方等、求職者に直接アピールすることができるからです。「社長の人柄や熱意」が応募の動機の決め手となることが多いのです。
その他の採用事例としては、○インターンシップ制度を活用し、自社に対する理解を深めてもらい採用に繋げた企業 ○「地元で働きたいが職場がない」「将来は地元で働きたい」と考えている新卒や第二新卒をU ターンを前提に採用している企業 ○営業力の強化という明確な方針に基づき、中途採用を行っている企業などがあります。
また、ここ数ヶ月の間で、金融危機に伴う雇用情勢の悪化が進んでいます。
求職者の大手志向が薄れ、中小企業が優秀な人材を確保するチャンスが来ているとも言えます。