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かわらばん入居版98号 2012年6月
証言で綴るSICの歴史
 ~燃料電池研究会~ 株式会社さがみはら産業創造センター 企画事業部 永井 直文
2002年後半。ITバブル崩壊、米国同時多発テロの影響世界経済は混迷、円高基調に株価も低迷、先行きが見えぬ状況であった。今もギリシャ・ユーロ危機等要因は異なるが、さらに悪い状況に世界も日本もある。
当時40代半ばの私は、この不況下で経営不振の続く大手民間企業に管理職として在職し、悶々とした日々を送っていたところ、さがみはら産業創造センターに採用され、長年お世話になった企業を思い切って退職した。
きっかけは『産業創造』というこの名になぜか惹かれたのだ。
このころのSICは試行錯誤的な卵の事業の摸索期で、民間製造業技術系出身の私は、『産業創造』を念頭に、自分が保有する資源、知識や経験を活かした企業支援の仕組みを、インキュベーションマネジャー研修の経験をもとに考えつき、2004年度に情報通信系に関連する企業や大学の産学連携体として、SIC新技術創造研究会を設立させた。
この研究会は企業が成長するきっかけとなる開発テーマや大学研究者の知見などを提供し、3年間ほど活動した。
そのような中、この研究会という仕組みを飛躍させる事業として、2005年度から2年間、国の産業クラスターに基づく神奈川県の取組み、『燃料電池』をお題とした新産業創出拠点形成促進事業を受託し、燃料電池プロジェクトを開始した。関係者(企業、大学、SIC、産業技術センター、県、市等)によるワーキング・グループを立ち上げ、開発テーマの設定や企業向け啓発セミナー・シンポジウムなどを開催した。
このプロジェクト活動の歩みは以下のようになる。
● 2005年10月にSIC燃料電池研究会を設立、①燃料電池システム開発プロジェクト、②家庭用燃料電池システム周辺機器開発プロジェクトを開始し、2006~2009年にかけてNEDOの家庭用燃料電池(エネファーム)補機開発プロジェクトへ参画し、都市ガス等の燃料改質用ポンプや給湯用排熱凝縮熱交換器などを開発し商品化した。
● 2008年度には中小企業基盤整備機構による川上・川下ネットワーク構築事業、2009年度には研究会にとっては大事業となった経済産業省の低炭素社会に向けた技術開発・社会システム実証モデル事業に採択され、SIC低炭素プロジェクトとして、HEMSの原型となる研究成果の実証や評価を実施した。
● 2010年度、新エネルギーとのハイブリッド化を目指し、SIC1号館屋上を創エネ・蓄エネ・省エネの実証フィールドとして展開し、2012年度も継続している。
今思い起こせばこの7年間にわたる燃料電池プロジェクトは、私のおこがましい例えで申し訳ないのだが、あの偉大なる音楽家の連携プロジェクト『The Beatles』の1962年10月のレコードデビューから1970年4月までの活動、彼らの偉大なるロック史上最大功績アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」やアップル本社屋上でのルーフトップ・コンサート「ゲットバック・セッション」がダブって見えてくる。この例えは私が勝手に思い込んでいることなのでご勘弁頂きたいが、今後はこの研究会活動をベースに、今日本国がおかれている脱原発エネルギー問題や地球温暖化環境問題などに貢献できうるような新産業の創出と企業支援策構築にチャレンジして行く。
平成20~21年度の成果 熱交換器
平成18年度の成果 家庭用燃料電池システム改質用水向けポンプ
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