かわらばん

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かわらばん入居版103号 2012年11月

証言で綴るSICの歴史
   株式会社クリエイト 代表取締役 小俣 晃之
 先月号より、小俣 晃之さんに、SIC創業当時を振り返り、エピソードなどを熱く語っていただいています。小俣さんは、当時相模原市の職員としてSIC誕生に深くかかわったメンバーのお一人です。

 SIC立ち上げに際し検討を重ねる中、市内企業経営者の皆さんに忙しい中時間を調整いただき実施した【検討会】では、施設の必要性から議論をいただき、1回の会議は短いながら、様々なタイミングでお話をさせていただく機会を作っていただき、様々な賛成・反対の意見をもらいました。その中で、経営は株式会社とし、天下りではなく、しっかりとしたビジネスプランを持った民間企業として存在させることを意義付けていきました。
 市役所内部では、公務員が株式会社をつくり、経営するという方向性に話が進んでいることを心配されました。
 しかし、私たちは無我夢中で、会社としても利益を出し、地域に貢献し、結果として多数の新たなビジネスを創出する・・・そんな前向きな考えで取り組んでいました。

 では、みなさん、公務員が公務員のままで、会社経営をできるでしょうか?12年たった私の答えは、今も「簡単ではない。」です。SICが実現できたのは、行政と商工会議所の連携、そして当時の松井社長、河本取締役、権田取締役、松岡取締役を中心とした市内経営者の皆さんの支援と地域振興整備公団の江越取締役のご尽力があったからだと思います。役員の皆さんは、自らの仕事をやりくりしてSICの出資金集めに一緒に奔走してくれたり、様々な創業者支援事業、施設の建設、会社運営のため、担当に分かれ、スタッフとともに考え、一緒に創り上げてくれました。会社のあらゆる課題が素早く的確に決められ実施される「相模原市と経済界が一つになって進んでいる」実感が、私たちを奮い立たせてくれたことを今でも覚えています。会社設立1年目は、本当に寝ずに働いた1年でしたが、本当に充実した1年でもありました。

 そして、動き始めたSICには、現在友人として親しくしていただいている経営者の先輩たちが立ち寄って、たくさんの叱咤と少しの温かい励ましをいただきました。市役所の仲間も自発的に手伝ってくれました。当時は人に感謝する余裕もありませんでしたが、竣工式を迎えたときは感謝の思いでいっぱいになりました。
 あの竣工式の日の晴れ晴れとした思いは今でも思い出されます。何もない中で始めた一つのきっかけと多くの人の力をいただくことができたことが今のSICの流れを創ったのです。
(次号に続く)