かわらばん

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かわらばん地域版22号 2012年12月

株式会社フードケア
   食を通じて高齢者のQOLに貢献する
 個人が人間らしい生活や自分らしい生活を送るQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を念頭に、介護や疾病の分野で食を通じて貢献しているフードケアの竹内豊社長を中央区相模原の本社に訪ねました。
 竹内社長は昭和30年広島県福山市に生まれ、大阪市立大学商学部を卒業後製薬メーカー、福島の病院の事務長を経て大手食品メーカーで社内ベンチャーとして介護用食品の開発と販売に10年間携わる。
 人が生きてゆくためには食事は欠かせないこと。健常者であれば当たり前の食事が、要介護3.5~5の人にとっては、水を飲むことも容易ではない。そうした困っている人を手助けしたいとの思いが募り、また、勤めていた大手食品メーカーではその事業に専念することができなくなったため退職し、フードケアを1997年に創業した。
 最初の商品は脳卒中などで嚥下(えんげ)障害を持つ人の誤嚥(ごえん)を防ぐ『とろみ調整食品』。「嚥下障害」や「誤嚥」と言う言葉が今ほど知られていない時代であり、とろみを付けることが誤嚥防止に役立つことも理解されていなかったので販売には大変苦労したそうだ。この商品に注目し、最初に買ってくれたのは子どもの重度障害の施設だった。水、お茶、牛乳、流動食などに加熱することなく簡単にとろみをつけることができるとろみ調整食品は今では病院や福祉施設などでほぼ100%使われるようになっている。
 また、高齢化が進む日本では、誤嚥性肺炎が高齢者に多く発症し、再発を繰り返し、優れた抗生物質が開発された現在でも、多くの高齢者が死亡する原因となっている。その対策として誤嚥を防ぐとろみ調整食品の普及が進んでいる。
フードケアは要介護3~4の高齢者のために全粥をお寿司の形にした「やわらかしゃりソフトシリーズ」を開発した。お粥から分離する水は誤嚥の元であるため、離水せず、しかも日本の食文化である目で楽しみながら食事が出来るように「にぎり寿司」の形を提案したもの。
 同社は現在、介護食品の業務用シェアは国内でトップ。昨年からは大手食品卸とのコラボレーションで在宅看護用の介護食品をドラッグストアで販売している。商品開発には非常に積極的で、全国5,000軒以上のユーザーより高い評価を頂いている全粥ミキサーの嚥下適性の問題点を解消した「スベラカーゼ」(特許取得)を開発したり、大学や専門の医療機関と二十数件に及ぶ共同研究を行っている。将来は食品に止まらず食に関する幅広い分野に挑戦していきたいと意欲的だ。
 小さなワンルームマンションの事務所で夫妻二人ではじめた会社も15年間で売上3千万円から34億円と大きく成長した。
 竹内社長は、お客様に直接関わる営業がしたくて大学では商学部に進んだそうだ。今、経営者としての喜びは、End userに直結したこの仕事が出来ること。社会的にどれほど重い責任を持つ仕事であるかを謙虚に受け止め、「口から食事をとる」事で「自分らしく生きる」ことを介護・疾病などの分野で提案し続け、お客様の声を商品開発に繋げる為に日々努力をしている。

株式会社フードケア
代表取締役 竹内 豊
所在地 :相模原市中央区相模原4-3-14
従業員数:25名 資本金:1千万円
売上高 :34億円(平成23年度実績)
事業内容:介護医療食品開発・販売
しゃりソフトシリーズ
スべラカーゼ(特許取得)