かわらばん

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かわらばん地域版24号 2013年4月

株式会社和広
   人が集まれば何でも出来る!
 鉄道車両用機器の製造・メンテナンスを手掛ける株式会社和広の代表取締役である鍵谷敏博社長を町田市小山ヶ丘まちだテクノパークの本社工場に訪ねました。鍵谷さんは「多摩高度化事業組合(まちだテクノパーク)」の理事長も務めている。
 和広は電車や機関車などに搭載される制御装置、電源装置を始め電磁接触器などの単品器具類の製造並びにメンテナンスを手掛けている企業。主な取引先は交通事業の大手メーカー。
 4人兄弟の末っ子として育ち子供の頃から自由奔放だった鍵谷社長は中学生の頃から将来は自ら起業したいと考えていたそうで、海洋土木を学んだ海洋学部時代にも小さいながら2つのビジネスを立ち上げている。
 鍵谷さんの生家は鳥取で大きな味噌問屋を営み相撲部屋まで抱える裕福な家だった。その後北海道に渡り機械関係の事業を始めたが父親は東京に憧れ蒲田での工場勤務についた。短期間に数々の技術を習得した後、町田市鶴川に機械加工の会社「鍵谷製作所」を昭和21年に創業する。小さなボール盤一台からの創業だったが創業間もなく大手企業から直接機械加工の仕事を受注するという幸運に恵まれている。鍵谷さんは大学卒業後、突然の次兄の死などもあり父親が経営する同社に入社、その間に自身のスキル向上を目指し大手企業への出向経験を積上げ、その後常務、専務、社長を務め、平成12年には同社を長兄に引き継いでいる。
 和広の設立は平成元年なので12年間は鍵谷製作所と和広の役員と二足のわらじを履いていたことになる。
 大手企業に出向していた時期に作業者の熟練した技術力を目の当たりにし、鉄道車両製品の固有の技術を誰かが次の世代に伝承していかなければならないとの強い思いで和広設立を決意したという。同社の従業員の三分の二は大手鉄道関連メーカーを定年退職した熟練技術者が占める。この熟練技術者の技術が若手社員に伝承される仕組みが出来上がり同社をガッチリ支えている。
 鍵谷さんの楽しみは、みんなで話しながら新しいものを創りだすこと。人が集まれば何でも出来る、時には楽しく・時には厳しく・皆で和気あいあいと仕事をし、皆の笑顔を見る楽しさが最大の喜びだと言う。
 今、その鍵谷さんが楽しみながら精力的に取り組んでいるのが合同会社マチダ・ラボの活動。和広、町田商工会議所工業部会のサンレックス、光学系ガラスの接着・研磨を手掛けるジャパンセルなどまちだテクノパークの研究開発型企業を中心に平成23年に合同会社を設立し、様々なものづくりに挑戦している。取組む分野は危機管理、アグリビジネス、環境、ロボットと多様だ。製品開発の世界的な潮流である「オープンイノベーション」を先取りしたこの取組みに期待したい。
 人を愛し「利他の精神」を持つ鍵谷さんなら必ずやり遂げてくれるだろう。

株式会社和広
代表取締役 鍵谷敏博
所在地 :町田市小山ヶ丘2-2-5-9
     まちだテクノパーク
従業員数:42名 資本金:1,000万円
売上高 :8億3,000万円
事業内容:鉄道車両用機器、産業用電源ユニット、大電流コネクタなどの開発設計、製造、組立、試験、メンテナンスサービス