かわらばん

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かわらばん地域版31号 2014年7月

株式会社サワ
   スーパーヒンジで世界を変える!
 山梨県上野原市の上野原工業団地内にある半導体製造装置部品の製造とスーパーヒンジの開発製造を営む株式会社サワ本社を訪ね、佐波和社長から話をお聞きしました。大正12年4月、山梨県都留市で父親の芳雄氏が織機の修理を行う会社として佐波鉄工所を創業。間もなく織機の製造も手掛ける。昭和17年には株式会社佐波鉄工所を設立し、艦用双眼鏡のフレームなどをつくる軍事工場となる。当時は戦時中であったこともあり、従業員は200人を超えた時期もあったという。終戦とともに織機メーカーに戻るが終戦の混乱期でもありフライパンや製麺機などなんでもやったそうだ。
 佐波社長は、大学を卒業した昭和37年に専務として入社し、翌年に父親が倒れ、24歳の若さで代表取締役代行となる。当時は、すでに繊維産業が低迷しつつあったため、織機メーカーとして培った技術を武器に東芝やNECの精密機械部品の金型や部品製造の分野に進出する。その後、半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンの部品製造を手掛けることになる。東京エレクトロンが半導体製造装置メーカーとして世界でその地位を築くのと歩調を合わせるように同社も大きく成長していくことになる。半導体が世に出たばかりの時期であり、その先行きがよくわからず、高校の同級生が日本政策金融公庫にいたので聞いてみると「この産業、この企業はすごく伸びる」と言われたそうだ。持つべきものは友人である。また、佐波さんはなかなかのアイデアマンで山梨特産の桃の選別機やボーリングシューズの自動貸出機などを考案し、億単位の事業に育てた経験を持つ。こうした発明の集大成ともいえるのが「スーパーヒンジ」の開発だ。

 ある時、住宅用のカギメーカーからスーパーヒンジをつくれないかとの相談があった。平成11年頃から研究開発に着手した世界で初めての小型化・軽量化を実現したドアクローザー一体化スーパーヒンジは本格的な事業化まであと一歩のところまできている。従来の油圧式ではなく真空装置のノウハウを生かしたエアダンパーシステムにより、押し戻しが軽く、ドアを開けると9 0度前後で止まり、閉めるとゆっくりと閉まる。そのため、ドアに指を挟む危険もなく、車いすでも楽に出入りできるなど、安全性に優れている。さらに、油圧式によるオイル漏れや気候により作動が変化する不具合もなく、耐久性やパフォーマンスも抜群だ。これまでに「グッドデザイン賞」など多くの賞を受賞している。

 今後は国内だけではなく海外進出を目指しており、SICが主催した「台湾環境・建築ビジネスマッチング」にも参加している。「海外のドアの多くはスーパーヒンジが普及していない。当社のスーパーヒンジは、室内ドアであればあらゆる素材や形状に対応できるので、潜在的な市場規模は計り知れない」と言う。
 若き日に夢中になったバイクや海の素潜り。そして、たくさんの発明。佐波さんの夢にあふれた面白い人生はまだまだつづく。

株式会社サワ
代表取締役 佐波 和(さわ たかし)
所在地 :山梨県上野原市上野原8154-34
従業員数:45名 資本金:1,000万円
売上高 :5億4千万円(平成25年度実績)
事業内容:半導体製造装置の部品加工、部品加工・組立専用機の開発、精密冶具の加工、建築用の金属製品・プラスチック製品の製造・販売
佐波社長
スーパーヒンジ