かわらばん地域版35号 2015年3月
「アジア経済事情と海外進出事例」 ベトナム編
 JETRO協力企画
―ベトナム経済事情―
ベトナム統計総局によると、2013年の実質GDP成長率は5.4%で、政府が当初目標としていた5.5%をやや下回った。2012年(5.3%)に引き続き5%台の成長にとどまった。
2013年の成長率を産業別でみると、農林水産業が2.7%増、工業・建設業が5.4%増、サービス業が6.6%増となった。
2013 年の輸出(通関ベース)は1,321 億3,500 万ドル(前年比15.3%増)と堅調に増加した。品目別でみると電話機・同部品、縫製品、コンピューター電子製品・同部品の順であった。国・地域別でみると、1位は米国で続いて日本、中国となっている。
2013年の輸入は1,321億2,500万ドル(前年比16.1%増 )であった。品目別でみると、機械設備・同部品、コンピューター電子製品・同部品、織布・生地の順で多い。国・地域別の輸入は、中国、韓国、日本、の順となっている。
2013年の日越貿易はベトナム側の輸出が136億5,100万ドル(前年比4.5%増)、輸入 が116億1,200万ドル(0.1%増)で、貿易収支はベトナム側の20億3,900万ドル(39.9%増)の黒字となった。
外国投資庁(FIA)によれば、2013年の対内直接投資(新規・拡張)は、認可ベースで2,120件(前年比15.4%増)、223億5,200万ドル(36.7%増)となった。
新規投資は1,530件(18.9%増)、144億8,300万ドル「アジア経済事情と海外進出事例」(68.1%増)となり、特に金額が大きく増加した。主な要因としては中国による石炭火力発電所建設案件(20億ドル超)や、韓国企業の新規大型投資(10億ドル超)案件などが大きく寄与している。国・地域別で新規投資をみると、金額1位は韓国で、2位はシンガポール、3位は中国、日本は4位となっている。
日本からの投資(認可ベース・新規)は、金額が大幅に減少したものの、件数は3年連続で過去最多を更新した。
―進出企業とJETRO支援サービス―
金型設計、製作・加工及びコンサルタント業務を行っているイイダモールド(本社:茨城県筑西市)は今後の業務拡大を進めるために、駐在員事務所の活動期間が終了するのを機に現地法人の設立を計画していた。
支援を担当したジェトロの専門家はメーカーに在籍中に現地法人の設立を担当した経験を活かし、イイダモールドの現地法人設立にあたり、投資ライセンス申請を支援し、ベトナムの法制度情報について、アドバイス等を行った。
同社は2014年1月22日、ホーチミン市人民委員会より金型の設計業務で投資証明書を取得し現地法人設立に至った。ジェトロの専門家は2014年2月に同社飯田社長のベトナム出張に同行するなど経理、税務、労務面での支援を行っている。同社のベトナム設計チームは本社で5年間研修した者が現地社長を務め、構想設計・3Dモデリング・トレース作業の分業化を計り設計工数の最適化を行い、設計費用のコストダウンを図っている。
ホーチミン市郊外のレンタル工場
ベトナムの主要経済統計(2013年)
ベトナム(ハノイ)の主な投資関連コスト(2013年)
ホーチミン市は中心部が高層化し、郊外開発を進める