かわらばん

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かわらばん地域版52号 2017年11月

三立工業株式会社 相模原事務所
   「人生これから。設計技術で描く”夢”」
 機械設備などの試作開発及び設計施工の一式を専門に行っている三立工業株式会社の小形 清(おがたきよし)社長にお話しを伺いました。小形社長は、鉄鋼メーカーで働きながら大学で学び、その後、技術を身に付けたいと機械設計事務所へ転職、先輩に追いつこうと「3年間で9年分働く」を目標に技術を習得された大変な努力家です。自らの機械設計事務所を設立され、サーボモータやセンサー機器がない時代に、自動車ドアの自動取り付け装置などを開発、また、地域分散していた設計業界を全国組織へ統一し、一般社団法人日本機械設計工業会設立に携わるなど機械設計業界の発展に貢献されました。

 現在、小形社長はテントシートなど複合繊維製品(塩ビ素材と繊維)を分離・再生する装置の開発を行っています。テントシートは、ポリエステル繊維に塩ビをコーティング又はディッピングした複合繊維製品のため、リサイクルすることが難しいという課題を抱えています。使用後はほとんど全て焼却や埋め立て等で廃棄されて環境問題を抱えているのが現状で、テント業界では東京オリンピックを控え、廃材の再生は業界喫緊の課題となっています。

 これまでに培ってきた機械設計の経験から複合繊維の分離再生装置の開発に成功した小形社長は、現在はその製品化に向けて試作機のテストなどを進めています。この技術は、使用済みのテントシートを素材別に分離することで塩ビ床材などへの再生・リサイクルを可能にする画期的なもので、社会的に環境配慮や資源の有効活用が求められる中、大きな可能性を秘めた技術と言えます。「塩化ビニール環境対策協議会」の機関紙「P V C n e w s」(2016年9月号No.98)の特集では、世界初の試みとして紹介されています。

 「私の人生はこれから」と語る小形社長。装置の販売だけでなく、複合繊維素材の再生・リサイクルサービスの開始に向けても着々と準備を進めています。世界初の技術と小形社長の熱い想いが、近い将来、塩ビ再生の世界を変えることを願ってやみません。

三立工業株式会社
SIC-1 304 号室
TEL : 042-703-6106
URL: www.sanlitsu.co.jp
小形社長
複合繊維廃材の分離再生装置