かわらばん

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かわらばん地域版59号 2019年1月

古木建設株式会社
   建設事業を通して広く社会に貢献
 今年、創業67年目を迎える古木建設株式会社の古木賢治代表取締役社長を相模原市上鶴間の本社に訪ねました。

 同社は、昭和28年4月に賢治氏の父である古木益美左氏により創業された。古木家の三男である益美左さんは丁稚奉公で習得した大工としての技術・ノウハウを武器に木造住宅の建築を手掛けたのが同社の始まりだ。折しも、同年に新しい駅舎となった東林間駅前に本社を構え、翌年(昭和29年)には相模原市制が施行されたときである。創業以来、「信頼」をテーマに掲げ、半世紀以上にもわたり、一貫してこの地に根を張り、建築・開発事業を通して地元の発展に努めてきている老舗建設業者だ。現在、建設事業を中心に不動産事業、メンテナンス・リニューアル事業に至るまで幅広く事業展開している。

 建設事業部門では、木造から鉄骨・鉄筋造まで古木建設の技術力を結集し、オンリーワンの住まいを創造する「注文住宅」、会社や店舗イメージを印象づける外観デザインからビジネス効率を見据えた空間機能まで、独創的で付加価値の高いプランを追及する「業務用施設建築」、デザイン性、居住性、耐久、耐震性など、様々な面で入居者の厳しい選択眼に沿うと共に、地主さんの賃貸経営効率を高める上質な「集合住宅」を提案。同時に賃貸管理サポート、運用アドバイスをはじめ、細やかなバックアップサービスも提供している。また、地域を熟知した豊富な経験を活かし、小学校・医療センター・福利厚生施設など、コミュニティーの発展に貢献する「公共建築」などにも幅広く活躍しているのが古木建設だ。

 このように、同社は4つのカテゴリーにおいて「人と街、個性と調和の心豊かな共生」を目指したステージの創造をコンセプトに魅力あるプランを提案出来ることが大きな特徴といえるだろう。また、同社は建物の性能あと資産価値を「守り・高め・蘇らせる」技術としてメンテナンス・リニューアル事業に積極的に取り組んでいる。

 建築施工のゴールは同時に維持管理のスタートとして、建物を良好な状態で出来るだけ長く維持するために同社独自の定期的な保守点検の導入と的確な補修改善を実施している。ちなみに2000年に完成したSIC-1も同社の施工によるもの。インキュベーション施設として築19年となるSIC-1は、創業間もない企業や新分野進出・研究開発を行っている成長性ある企業の方にご利用いただくために建設した。

 当時は「インキュベーションセンター」という言葉の意味も曖昧だった中、SIC創業当時の経営陣や相模原市の意向を丁寧に汲みとり、あまり前例がなかった「ラボ・セミラボ・オフィス」複合型の建物をローコストかつ機能性優れた建物に造り上げて頂いた。お陰様で、それが今でも高い入居率をキープしている大きな要因の一つとなっている。また、定期的なメンテナンスの他、急なアクシデント時にも同社の社員さんが親切かつスピーディーに対応してくれている。

 不動産事業では、不動産仲介・賃貸管理をはじめ、ゆとりと安心が息づく高級分譲マンション「ウッドコート」シリーズをはじめ、コストパフォーマンスに優れた「プレミール」、優雅な一戸建ての街並みを造る「プレミールアベニュー」シリーズなどを手掛けた販売実績を持つ。昭和30年代の高度経済成長期からオイルショック、昭和60年代のバブル経済とその崩壊、リーマンショックや東日本大震災など「激動する時代」を乗り越えてここまで来られたのは「時代の変化と多様化す
るニーズを的確に捉え、堅実かつ地道に地域と密着した仕事を数多く手がけてきた結果であり、節目では“運”もあった」と古木社長は回顧する。

 そんな古木社長は生まれも育ちも相模原市、小学生の頃は両親共に仕事が忙しく、いわゆる鍵っ子だった。そのため、叔父が営む“そば店”で食事をとることが多く、その頃の将来の夢は「蕎麦屋さんになる」ことだったそうだ。中学生になると、何となく「父の後を継ぐのだろうな」と思うようになり、その後は建築を学べる環境に進路を向けるようになった。ちなみに父益美左さんは口には出さないまでも賢治さんに「一級建築士」の資格を取得してほしいという願望があったようだ。
そんな想いを感じ取った古木社長は、当時、土木建築といえば日本大学ということで、日本大学藤沢高等学校を経て日本大学生産工学部へ進学した。大学卒業後は、横浜にある中堅建築会社に入社すると共に、目標としていた一級建築士の資格取得を目指す。現場を中心とした実務経験などを生かし、学科試験及び設計製図試験に見事合格。同時に「宅建主任者資格」(現:宅建取引士資格)も併せてスピード取
得し、約3年間の修業期間を経て古木建設に入社した。

 同社入社後の古木社長は、経営において重要性の高い経理部門の改革を推進した。業種柄、仕訳・勘定が多岐にわたり、取引金額も多額に及ぶ中、現場と経理部門の数字が一致せず、決算の都度相当な労力を費やすことがしばしばあったためだそうだ。若い頃からオフコンやパソコンに強い古木社長は「2000年問題対応」をはじめ「原価管理システム」など各システムを自らプログラミングし、自社独自の管理システムを構築した。定期的なメンテナンスを自ら実施し、事務処理の正確性・効率アップをはじめ、ランニングコストの削減も図っている。

 今後、建設業者として施工技術面における差別化はもちろん、お客さまをはじめ社員同士でも「おもてなし」の心が発揮できるような“アットホーム”な職場環境を構築したい。同時に、現場におけるトラブルは注意していても100%避けることは出来ない。だからこそトラブル発生時にスピーディーかつ最適な対応を図ることで、お客様からの「信頼」を獲得していきたいと現場重視の姿勢を強く語る古木社長。創業以来、半世紀以上にわたり培ってきた実績をベースに、次の半世紀をしっかり見据え、建設事業を通して広く社会に貢献する古木建設の可能性と拡がりは無限大だ。
古木 賢治社長